【完結】国立ユイナーダ学園高等部⑦〜どうやら私の目に狂いはなかったようですね!

砂月ちゃん

第1話 婚約者に会いに行ってみた!

皆さんこんにちは。

国立ユイナーダ学園高等部魔術科のエリーです。


突然ですが私には、婚約者がいます。

公爵家の嫡男で特進科三年のナルキス。

だけど私は、あの男が大嫌い!



私とあの男が、初めて会ったのは私が5歳であの男が6歳の時だったわ。

私のお祖父様とあの男のお祖父様が学園時代からの友人で『自分達の子供同士を結婚させよう!』という約束をしたけど残念ながら、両方息子しか生まれなかったので孫の代に継続されたの。



両親からあの男の両親との学園時代の話を聞いていたから、凄く楽しみにしていたのに……

王都から数日旅をして、あの男の住む領地にお祖父様と一緒に会いに行ったら、大人達が席を外した途端に私をバカにしたり、意地悪してきたのよ!


「ほんらいならおまえみたいなヤツは、こうしゃくけのオレさまのこんにゃくしゃになれないんだから、ありがたいとおもえ‼︎」


「……。」


何コイツ!聞いてた話しと全然違う‼︎

『お前みたいな』って、私は侯爵令嬢よ!

私よりも身分が上で、あなたと年齢が釣り合う女性貴族はいないのだけど。


「こんにゃくしゃなんだから、オレさまのいうことは、ぜったいだからな!」とか「こんにゃくしゃっていうのは、どれいのことだろ?」とか言って服の下で見えない所を抓ったりわざと転ばせておいて優しく助けるフリをしたりされた。


乳母だという女も止めるどころか

「なんて男らしい!」「ご立派です坊っちゃま♪」

とか言ってるし信じられない。


こんなヤツが公爵家の跡取りで、私の婚約者だなんて最悪だわ!

おまけにバカっぽい喋り方してるし。

『こんにゃくしゃ』って何よ!

公爵家の跡取りっぽいのは見た目だけね。



ムカついたのでこっそり屋敷から抜け出して、1人で遊ぶ事にした。

裏にあった森の中を散歩していたら、急に開けた場所に出て何故かそこには不恰好な小さな小屋があったの。


鍵がかかっていたので中には入れなかったけど、とっても陽当たりが良かったのでつい寝てしまったのよね。


暫くしたら誰かに起こされたわ。

「おい!おいってば!こんなところで寝てるとかぜひくぞ!」


「う~ん…あとちょっと……。」


もぞもぞしている私に

「もうすぐ夕方になるから帰ったほうがいいぞ。」

もうすぐ夕方?

!!

「あぁっ!」

「やっと起きた。

きみ、おやしきに来てる王都のお客さまだろ?」


私を起こしてくれたのは、何故か婚約者とよく似た男の子だったの。

婚約者との違いは公爵家特有の、銀の髪と空色の瞳ではなくこの国では、ごく一般的な茶色の髪と茶色の瞳だという事。


でも彼を見た瞬間、私にはすぐにわかった。

私の本当の運命の人は、この人だと……


それから、毎日屋敷を抜け出しては彼の元に通った。

何度も通ってやっと聞き出した彼の情報は、

名前は、クリス

年齢は、6歳

何と、あの乳母の息子だったの!

けど、あの意地悪な『ナルキスの世話が忙しいから』と言って同じ屋敷に住んでいるのに遠縁の庭師の老人に預けられている、というからビックリ!

普通は乳兄弟として、一緒に育てられるんじゃないの?



そこで、私は考えた。

後数日もすれば、私は王都の屋敷に帰らないといけない。

ユイナーダ王国の決まりでよほどの理由がない限り、高位貴族は初等部(10歳)から学園に通う事になっているが、この様子だと彼が従者としてあの男と一緒に学園に通える確率は低い。

このまま別れたらクリスと二度と会えないかもしれない。

そうだわ!お祖父様にお願いしてクリスを私の従者にしてもらえばいいのよ。

そうすればずっと一緒にいられる。




結果的に彼はあっさり私の従者として、王都に行く事が決まったわ。

元々婚約者から嫌われていたし、母親のはずの乳母からも放って置かれていたから都合が良かったらしい。




などともっともらしい理由を話しているが、当時の私は単に彼と離れたくなかっただけだろうなぁ。

でもあの頃の私グッジョブです!




王都の屋敷に移ったクリスはひとまず、執事長のトマスに預けられ侯爵家の使用人として教育される事になった。


驚く事に彼は読み書きをある程度できていて、生活魔法も使えたのよ。

何でも婚約者が家庭教師から出された宿題を、代わりにやっていたそう。


なるほど、だからバカなのね!

人にやらせていたのでは身につく物も、身につくはずがない。




ところであの婚約者、彼をこっちに寄越して大丈夫だったのかな?

今頃、代わりに宿題をしてくれる人間が居なくて困っているに違いない。

いい気味だわ!


******************


その頃のナルキス



「ナルキス様!コレはどういう事ですかな?」


きょうもかていきょうしが、オレさまにもんくをいう。

いままでできていたべんきょうが、できなかったからだ。


「ナルキス様聴いているのですか⁈」


なんでオレさまが、もんくをいわれなければいけないんだ!

それもこれも、アイツがあのこんにゃくしゃのところにいったからだ!




こんどあったら、またなぐってどっちがえらいかわからせてやるからな‼︎


「ナルキス様‼︎」



☆ナルキスはバカなので、ちょっと文章が読みにくいと思いますがご了承ください。

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