道化の孤独
清純がゆえに汚れに敏感な彼は
避けるほどにむしろそれらに気をとられ覗き込み続け
次第に彼らの性質をよく把握するまでになり
何か人間性の議論などすることあれば
これが汚れた人間の手本だと
あえて自分でそう振る舞って見せたりもし
素直にそれを蔑む人には
むしろ寛容さをもって
自ら同意する姿勢さえ見せ
そして反吐が出るそれらの物真似に身をやつしている間に
いつのまにかその道化が堂に入ってきて
まるで本当の汚れた人間と
変わらないといって差し支えない様子と思考が染み付いた
だからと言って彼のそれは真性でもなく
しかし元の清純さと同一とも言えない
かくして彼は光輝く人々には厭われ
本物の奇人には偽物と見抜かれ
ついぞ誰とも本当にわかりあって懇意にすることがなくなってしまった
それものそのはず
彼は一貫して誰になったこともなかったのだ
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