君にだけ

君にだけ

芝居の裏側を見せていた

今はもう

僕だけで壇上に立っている


風だけを遺して

あなたは去ってしまったから

こうしていてもまだ

あなたがどこかにいるような


いつか大きな悲しみが

僕の生活に追い付いて

歯磨きすらできなくなるだろう

君の笑う顔を想い出すと


嘆くと言うより口を開けて

ひたすら宙を見つめている

雨はトーチの周りを移ろい

今にその灯りを消すだろう

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