第7話 番外編1 転生

オギャーっと言う赤ちゃんの鳴き声が聞こえてくる。

 俺は今修学旅行のバスの中の筈なのだが…目を開くとバスの中ではなくボロい木造建築の中、修学旅行で行く京都の物ではなく西洋風と言った感じだ、そして驚くべき事に赤子の泣き声を発しているのは俺の様だ。


 は?………いや、自分で何を言っているのか判らない、俺を抱きかかえているのは白い髪に青い瞳の美女、愛おしくてたまらないと言った様子で俺を愛でている。その美女は何と猫耳が付いている…

 色々分からない事はあるがそれより俺は高校生だ、何故女性に抱きかかえられているのだろう?いや、全く分からない訳じゃ無い…俺の中には一つの推論がある…出来れば信じたく無いのだが…

 俺が覚えてる最後の記憶は修学旅行のバスの中、友人の柳田康介、音原律と駄弁っている中ふと、バスの中を見渡す、斜め前の席の桜井舞さんと笹田風さんが肩を寄せあって寝ている、その隣の宮月玲さんが俺に向かって口に人差し指を当て、シーっと言うポーズをとっている、この三人は学校一いや、そこらのアイドルとは比べ物にならないくらいの美人で有名だ、何度もスカウトを受けているらしい、俺も一度見かけたことがある、桜井さんは話を聞いてないし笹田さんは聞いていても余り解って無い様だったので宮月さんがスカウトの人を上手くあしらっていた。

 そんな美人に見られ、一瞬固まってしまったが慌てて目を逸らし康介と律に静かにする様に言う、最初は何でだよっと言ってきたが美人三人の名前を出すと仕方ないな〜と言って康介はボリュームを下げた、律はそのままだ、律はまぁそういう奴なのである。一番前の席の田中先生は乗り物酔いでグロッキー状態様だ。

 そんな何の変哲もない日常が続く筈だった、突然バスの周りが黒い霧に覆われ意識を失った、覚えてるのはここまでだ。

 それが起きたら赤子である、親と思われる女性が猫耳と来た、これはあれじゃないか?異世界転生というやつではなかろうか?俺はあまり良く知らないが康介がそういうラノベを頻繁に勧めて来たので何となく知っている。物凄く不安だ…俺が高校までに積み上げてきたことがリセットされ1から人生を歩まなくてはならないのだから、前世の両親にももう会えず、あの場にいた康介や律に会えるのかも判らない。不安だ…

 俺の不安を感じ取ったのかいないのか判らないが母親と思われる女性が俺を抱きしめて額にキスをする、俺は安心したのか、そのまま眠りに落ちた。





 翌日、俺は母親にオムツを替えられていた…俺は衝撃的な事実を知る…俺は女だった様だ…

 何故に!!!転生したという事実でも結構ショックなのに!!性別まで変わっているだなんて!!!俺はこれから女として生きていかなければならないのか…前世で姉が生理で苦しんでいたので非常に怖い。

 衝撃の事実にショックを受けた数日後、母は俺を抱えて家を出た、外は家の様子を見て推察していたが街と言うより村と言った感じだ…住人達は種類は違えど俺と母親と同じくケモミミと尻尾が付いている、ウサミミのおっさんを見た時は衝撃だった…それはともかく母が俺を連れて来たのは大木の前、石造りの巨大な祭壇の上に立っている、葉を見ると桜の木の様だ、前世では庭に生えていたので良く覚えている。俺はどことなく日本を感じさせるその桜に感動した…言葉は判らないが母が祈りを捧げているのは分かる、確かにそうしたくなる風格と威厳がこの桜の木にはある様に思えた。

 これからどうしたものか…取り敢えず言葉を覚えなければ、周りの人が何を言ってるのか判らないもんね、言葉を覚えたらこの村がどんなところなのか、危険は有るのかとか調べなければまだ産まれたばかりの赤子の身体には堪えるかもしれないが頑張ろう!!俺はこれからの安全と成功を桜の木に祈った。

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