第74話- 朧春月
春霞のなか朧にたゆとう花弁が一陣の風たのは遠い夢の中でみる貴方の面影だった。
今では声もこの手も届かない見えない壁の向こう側で今でも見守ってくれているのか、
吹きすさぶ春の嵐に立ち止まる私の背を押してくれる。
どうせなら防波堤からみえる月に向かってこの背をついてくれはしまいか。
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