L村の怪異

「恐怖！！過去からきた殺人犯！？」（「オカルトマガジン（如水出版）」)

「恐怖！！過去からきた殺人犯！？」（「オカルトマガジン（如水出版）」　2015/８月号）

今年7月22日、L村の山で男性が転落死したことを覚えているだろうか。聡明な読者諸君ならお気づきだろうが、このニュースの続報がぱったりとなくなってしまったのだ。これには理由があった。現場にはありえないものが残されていたからだ。

◇現場に残されていたものとは？

オカルトマガジン編集部は、世間が関心を失った後も、警察関係者に取材を行った。しかし、関係者の多くは口を固く閉ざしていたのだ。一体何があったのだろうか。我々はある関係者から一つの資料を入手した。

　<捜査報告書>

鑑識課　■■■■■■（伏字編集部）

（中略）

足跡

足跡１

　大きさ　19cm

　種類　　子供用運動靴19号B（赤塚化学工業（現・A-SPORTS）製）

足跡２

　大きさ　22cm

　種類　　裸足

（中略）

DNA鑑定

羊羹の袋１、３　唾液から被害者のDNAが検出された。

羊羹の袋２　唾液から■■■■（県警失踪者第■■■号　参照）のDNAが検出された。（伏字入手元）

羊羹の袋４　唾液から不明な人物のDNAが検出された。

（後略）

　　捜査資料　抜粋

資料に施された伏字は何を意味するのだろうか。我々は袋から検出されたDNAの持ち主を調査することにした。

◇古すぎるげそ痕

我々はまず資料の運動靴に注目した。赤塚化学工業は1978年にA-SPORTSに改名していた。さらに驚くべきことに、赤塚化学の運動靴は、その靴底の形状によって型番が決まっており、Bタイプは1964年から1970年までの間に製造されていたものだという。それではこの資料の足跡も古いものなのだろうか。

（足跡が見つかった運動靴と同じ製品の写真　A-SPORTS ホームページより）

「地面に残された靴の跡、いわゆるげそ痕は、現在の技術ではそのおおよその時間まで調べることができます。この資料に載っているということは、そこまで古いわけではなく、男性が転落したと思われる時刻にできたと考えていいでしょう。」

科学捜査のスペシャリスト、沢村治氏は言う。しかし、40年以上も昔の靴を履いている人物が今いるのだろうか。

◇赤い靴の少女

我々は次に行方不明者の部分に注目した。伏字であるため詳しいことはわからないが、Q県警が失踪者番号という形で記録していたのは1980年以前のことである。そして、古い運動靴の販売期間でのL村での行方不明者の情報を調査した。

そして、我々は驚くべき事実に直面した。

　　探しています

　　松本梅子　9歳

（中略）

　　赤い運動靴を履いていました。

　　（少女の全身の写真）

　　Q県警察　XXXX-XX-XXXX

　　（ポスター　一部抜粋）

このポスターは1967年に行方不明となった少女の捜索を求めるものであり、彼女はいまだ見つかっていない。そして写真を注目してほしい。彼女が履いている運動靴は、足跡が見つかったものと同じように見えないだろうか。恐らく伏字になっているのは彼女の名前だろう。

48年の時間を空けて同じ村で起こった2つの事件。そして、その両方に現れる運動靴。これは偶然なのだろうか。それとも、彼女が時空を超えて現代へやってきたのだろうか。そして、転落死の真相とは。

（如水出版　山下哲也）