第1話 キャラを作ろう

第1話 キャラを作ろう


 閉じた目を開いたとき、戒夜は真っ白な空間にたたずんでいた。


『アバターを設定します』


 目の前に文章が浮き、緑の円陣が足下からゆっくりと頭のてっぺんまでなぞりあがる。

 やがてその光が消えると目の前に自分と代わらない体格、顔つきのシルエットが浮かび上がった。


「・・‥ふむ、これがアバターか」


『名前と種族を決定してください』


 呟くと同時に先程と同じように文字が浮かび、入力するためのキーボードらしきものが現れる。


「名前‥‥いつも通りでいいか」


【NAME:カイヤ】


 名前の入力を終え種族を決めようとその一覧に目を向け‥‥


「‥‥うぇ‥‥」


 余りの多さに遠い目をした。


「面倒な‥‥」


(人族‥‥ヒューマンだと面白味がないな‥‥エルフにドワーフ‥‥竜族‥‥尻尾があるのは面白そうだが鱗がなぁ‥‥)


 一覧を順に見ていきながら思考を巡らせ――


(なら尻尾繋がりで獣人族にするか‥‥猫人族、犬人族、狼人族‥‥獅子に虎、熊‥‥これもまた多いな)


 獣人族の多さにまたうんざりし――


「‥‥ぅん?」


“天狐族”

“妖狐族”


(てんこ?あまぎつね?どう読むんだ‥‥同じ狐族なのにわざわざ分けてあるのか)

 

 一つの?種族に目を留めた。


(まぁ、狐族だったら尻尾もあるし‥‥これにしてみるか)


【種族:天狐族】


『名前:カイヤ

 種族:天狐族


 これで決定しますか?』


 文章の下に YES:NO と浮かんだため躊躇わずにYESを選ぶ戒夜。


『副種族を選択することが可能です。選択される場合は種族名を、選択されない場合はNOを指定してください』


(副種族? ‥‥いわゆるハーフという奴か?ならさっきの‥‥)


【副種族:妖狐族】


『NAME:カイヤ

 種族:天狐族

 副種族:妖狐族


 これで決定しますか?』


 確認の文章に、戒夜はこれもまた迷わずYESを選択する。


『アバターの設定を確認してください』


 その文章の下に今度は容姿や髪型、配色設定用のミニアバターが現れた。


(容姿や体型はこのままでいいな‥‥面倒だし)

 

 見も蓋もないことを考えながら配色画面に目をやり――


(なんで2色ずつ選ぶように分かれてるんだろう?)


 疑問に思いながらも、配色は変えるつもりのようだ。


(あぁ‥‥天狐族と妖狐族で配色が分かれてるのか‥‥なら‥‥天狐族の時は黒髪金眼、妖狐族の時は銀髪紅眼にして‥‥髪の長さも変えると感覚が変わりそうだしリアルと同じくらいにして‥‥)


 ――配色は意外と簡単に決まったようだった――

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