混沌の種子
@masakana
第1話 誕生
それは、人間の姿を故意に歪めたような巨人、風に乗りて歩む者イタクァ、小さく儚い命を連れ回す事に飽きて、上空から地上に投げ落とした。
時同じ頃、太陽系外からの緑色に輝く流星が侵入、強引に軌道を変え、太陽系第3惑星への落下軌道に入った。
その流星の核は好奇心に満ちていた。宇宙空間の旅をしながら、あちこちを調べては、自らの好奇心を満たしていた。
それは惑星のコアに潜り込み、惑星その物を卵殻として誕生する事が、惑星を破壊して羽化する事が本来の目的だった。
そうだ、落下する予定の惑星コアよりも面白そうな物を発見したのだ。
〈死にたくない! もっと自由に生きたい!〉
〈面白い、あんな小さな生き物が居るのか〉
それは更に軌道変更、上空から落ちる少女の下から衝突しながら融合、坂本優衣と言う名前の儚い消えかけた命と原子レベル、いや魂レベルで完全に融合した。
それは瞬間的に加速してワープ速度すら超え、坂本優衣が無意識に願っていた世界へ、願っていた生き方が出来る世界へ時空間転移した。
それは、魔王アザトースが踊りながら、のたうちながら産み出した種子、死にかけた坂本優衣と融合した事で「核なる混沌」に進化していた。
魔王アザトースの恐るべき混沌の力、人間の知恵を合わせ持つ新たなる邪神、異形の神の誕生だった。
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