山を切り開こう2
「温泉!ヒロシー温泉に入りたいよー。」
起き抜けのミーアの一言で今日することが決まる。
「よし温泉を掘ろう。そうだな、あんまり難しいことを考える必要もないか。
思い立ったことをやりながら楽しく過ごせたらそれでいいよね。」
「そうだよーヒロシー。楽しいが一番だよー。」
ということで温泉を探しているんだけど、なかなか見つからない。
エレメントスでやったように気配察知と土魔法を駆使し、地中の水の気配を探していく。
最初は細く深く深く探していく。
深さが1000mを越えたらそのまま範囲を広げていく。少しづつ少しづつ、慎重に調べていく。
半径が100mを越えたら場所を変えてまた同じ作業。
調査から既に3時間が経過している。
だんだんと気配察知にも慣れてきてピッチが上がってきた頃、家から500mほど離れた場所で微かな水の気配を感じた。
その真上に移動し、細く深く気配のあった場所を集中的に調べると微かな水音ががだんだん大きくなり、ポコポコっという音が交じっているのが分かった。
「あったあー!!!」
俺の歓喜の叫びを聞いてミーアが走ってきた。
「ヒロシー温泉があったのかー?」
「たぶんここにあるよ。よし早速掘ってみよう。土魔法ゴーレム!」
温泉があるだろう場所からゴーレムが立ち上がり、300mほど先に移動する。
その開いた穴の下から別のゴーレムが出てきて移動する。
次から次から同じ穴から次々とゴーレムが出てくる。伸ばした手が穴のふちにかかるとそのまま腕を縮めて顔を出し仲間のところに移動する。
そんなことを何回、何10回も繰り返していると穴から水音が大きくなってきた。
「ゴーレムこっちに整列。」
穴から出てきて待機していたゴーレム達を呼び寄せ穴から家まで2列に整列させる。
「ゴーレム、1メートル四方の石になって水路になれ!」
ゴーレム達が一斉に立方体の石に変化しきちんと隙間無しに並んでいくと高さ1mの水路が家に向かって出来ていく。
穴から次々へと出てくるゴーレム達も次々と水路に変わっていき、それが家のすぐ近くまで来た時、ついに温泉が湧き出したのだった。
ヒロシは急いで家の方に戻り、水路の端に半径10m、深さ1mの範囲でゴーレムを大量に生成し浴槽を作る。
次に浴槽から水路までをつなぐ水路を掘って溜まった温泉を水路に流すようにした。
滔々と溢れ流れてくる温泉が浴槽に溜まり、そこから溢れた温泉が水路を通って川に戻っていく。
温泉が川の水と合流し適度な温水となって田畑に流れ込むようになった。
「後はゴーレム達を水路の蓋や着替えのための東屋に変換してっと。」
全ての作業が終わって一息ついた頃、温泉に飛び込んでお湯を堪能しているミーアの笑い声が聞こえてきた。
「ヒロシー、早くおいでよー。気持ちいいよー。」
ミーアの無邪気な声に癒されつつ、ヒロシは温泉に向かうのだった。
翌日から田畑の拡張や果樹園の作成をゴーレムを使いながら進めていく。
籾や苗はホームセンターや農家から購入してきた。
それらを一通り撒いたところで広域のハイヒールを全体に掛ける。
実はヒールは人にだけではなく農作物の育成に効果があるのはエレメントスの時に分かっていたから、こっちでも自重はしない。
思いつくままに魔法をぶっ放しているとあっという間に収穫期を迎えた。
このままだと収穫が終わらないうちに傷んでしまうので農作物全体に時間魔法を掛け時間を止めておく。
これでいつでも最良の状態で収穫でいるはず。
毎日のルーティンが起床、朝風呂、果物収穫、朝食、昼寝、野菜収穫、調理・晩御飯、入浴、就寝と決まった瞬間だ。
こうして家から半径600mくらいは開拓が終わった。
食べる物も十分にあるし、住むところも申し分ない。温泉もいつでもかけ流しで入り放題だし、しばらくはのんびりと暮らすことになったのだった。
それから2週間ほど経った頃、果物が食い散らかされる被害があった。
警戒用鳥型ゴーレムを数10羽土地の周りに放ち監視させたところ、野生動物が現れていることが判明した。
鹿や猪、ウサギやキジなどが来ているようだ。
野生動物達用の果樹園を別の離れた場所に用意してやるとそちらに行くようになった。
ただ作物以外にも被害があるといけないので、家から半径1kmの範囲に結界を張ることにして動物達も入れないようにしておくことにした。
ちなみに野生動物を見てミーアがよだれを垂らしていたので、たまに狩猟ゴーレムを放って野生動物の間引きをすることにしたんだ。
もちろん、捕まえた動物達がその後の毎日の食卓に上ることになったのはいう間でもあるまい。
毎日のルーティンに動物解体が追加された。
ルーティン:起床、朝風呂、果物収穫、朝食、昼寝、野菜収穫、動物解体(数日に一度)、調理・晩御飯、入浴、就寝
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます