関口 陽(ひなた) (11)

 二十人以上が暴れ回ったお蔭で……何とか……ゾンビもどき、ほぼ全部が戦闘能力を失なったようだった。

 少なくとも、ここ5分間ほどは新たに現われてはいない。

「何なんだ? 変な能力は持ってる割に……えっと……戦い方は阿呆丸出しだな……」

 ブチ倒したゾンビもどきの数は……ざっと百体以上。

 下手したら、この棟に居るゾンビもどきほぼ全部を倒し終えてたとしても不思議じゃない。

 私達を見付けて、その情報をゾンビもどき同士で共有してたらしい割には……数で押すと云うマネしかやってない。

 結果的に次々に同類の応援に駆け付けて……結局は私達に各個撃破された。

「人間の『魔法』に似た真似が出来るし……丸っ切りの馬鹿って訳じゃないっぽいが……人間との喧嘩には慣れてないような……。何か、そんな変な感じだ」

 笹原ささのはらがそんな感想を口にした。

「まだ、油断しない方が良いけど……案外、そんな所じゃないかな? 剣呑ヤバい『異界』の中でも、人間界との接触が少ないとこから来た奴らだとか……」

「ところでさ……そもそも、何で、外に居たゾンビもどきと、ここのゾンビもどきは特性が違うんだ?」

 一息ついたランが、言われてみれば当然の疑問を口にした。

「あ……」

「嫌な予感がする……探り方をさっきと変えてみるか?」

 続いて、笹原ささのはらが、そう言った。

「どうするんだ?」

「『護法』の『目』を通してみれば……何か判るかも知れん」

「あの……まさかさ……お前が予想してる事って……」

「ああ、お前の予想と、多分、同じだ」

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