関口 陽(ひなた) (12)

「えっと……1つ問題が有るんだが……」

 私は、ある当然の事を指摘した。

「何だ?」

「この『御徒町』の港って、どう言う場所か知ってるのか?」

「えっ?」

 台東区ここを含めて、Neo Tokyoは基本的に約2㎞×2㎞の4つの区画からなる正方形の人工島。

 その4隅には「港」が作られているが……ただし、この「台東区」の「御徒町」地区の場合……。

「あの刑務所が有るのはどこだ?」

 私は「御徒町刑務所」を指差す。

「どこだと言われても……御徒町地区の……おい、刑務所を通り抜けないと港まで行けないのか?」

「ああ、早い話が『御徒町港』は『御徒町刑務所』の物資搬入口だ」

「そんな……馬鹿な……」

「そもそも、何で、そんな所に『正義の味方おまえら』の船が有る?」

 ランは携帯電話ブンコPhoneで何かを調べ……。

「あ〜……」

「まさか……」

「バレたら、ここの『自警団』と『本土』の『正義の味方』の戦争だな……」

 どうやら……「本土」の「正義の味方」が、この「島」の「自警団」が運営してる筈の「御徒町刑務所」の出入り業者の中に居たか……下手したら運営に秘かに入り込んでいたらしい。

「まあ、いい、この『島』の他の港にも船は用意してある筈……」

「お……おい……お前ら……何をした?」

 その時、聞き覚えが有る事がした。

「あ……どうも……」

 私が所属している「入谷七福神・大黒天班」のリーダーである通称「大黒天」だ。

 その後ろには……「寛永寺僧伽」の「護國院」の連中が十数名。そして、笹原ささのはら

「え〜っと、まさかとは思うが、そこで、寝てんのが対象ターゲットか?」

「は……はい。そのまさかです……」

「お前らはプランBだったよな? 何で、あっさり対象ターゲットを確保してる?」

「あ……その……それは……」

「成行きだ」

 横からランがいらん口出しをしやがった。

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