「あの人(♂)は私(♂)を捨てた!」。ある映画の思い出

チェシャ猫亭

第1話  パリの探偵は見た!

 一人で映画を見に行きはじめていた中2の私、トリュフォー監督の偉大さなど知る由もなく、見られる映画は、とりあえず見たという感じ。


 その映画のタイトルは「夜霧の恋人たち」。でした。

 内容はほとんど覚えてないですが、一つだけ印象深いエピソードが。

 主人公が、探偵の仕事を始め、ある中年男性から依頼を受けます。調査対象も中年男。

 尾行したものの、あやしい点は全くない。仕事が終わると即、家に帰る日々。

 そう報告すると、依頼者は、突然暴れだし、

「あの人は私を捨てた!」


 つまり、依頼者はゲイ。最近、恋人が冷たいので調査を依頼したのです。その彼氏は、きちんきちんと家に帰っていた。家には妻がいます。結局、彼は男の恋人ではなく、家庭を選んだ、らしい。


 さすがおフランス、こういう話を入れてくるのか、と、暗闇の中でニヤつく13歳の私でした。


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