第27話 夢
「……俺の夢?」
「うん。それがね、面白いんだけどね、なんでかわたしとカガミュートが一緒にパーティー組んで、いろんなところを冒険してたんだ。街を救ったり、迷宮に潜ったり、魔王を倒したりしちゃってね。あはは、ウケるよね。ねえ、聞いてるの? 人と話をするときは相手の目を見るのが礼儀ってものだよ?」
「そうか」
アーちゃんは作り終わったサンドイッチを早速頬張る。砂糖を初めて舐めた赤ちゃんのように幸せそうな顔で「んーっ!」と舌鼓を打っていた。
「あ、あとね。ヒナも夢に出てきたんだ」
「……」
指先についたチーズをペロりと舐めながらアーちゃんは話を続ける。
「気になる? これもまた面白いんだ。ヒナがおっきな蛇に丸呑みされちゃってね。カガミュートがそれを隠れて見ながらオナニーしてるの。あはは、訳わかんな過ぎて、さすが夢って感じだよね」
「———ッ! か、〈鑑定〉!」
俺は咄嗟にアーちゃんに鑑定をかけた。何か相手の記憶を覗き見るとか、そういったスキルを持っているのではないかと警戒したからだ。最近俺は敵ではない限り極力人に鑑定をかけるとこは避けてきた。勝手に情報を盗み見るのが悪い気がしたからだ。だがそんなことを考える余裕もなかった。
「な、なに? どうしたの?」
動揺するアーちゃんをよそに、俺は鑑定結果のスクリーンを見ながら驚きに目を見開く。
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【個体名】アタ※yク_•jヒナ
【種族名】人族
【レベル】9
【スキル】〈肉体再生〉
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(——なんだ? この名前は。バグっているのか?)
(ヒナという文字がある。なぜだ? これもバグなのか?)
(アーちゃんに記憶を見るようなスキルはない。本当にたまたま俺がかつてしたことと似たような夢を見ただけなのだろうか?)
(それとも……ヒナに似ているとは思っていたが、まさか……本当にヒナなのか?)
「……そういえば、あ、アーちゃんの名前は、なんていうんだっけ?」
「なに? 急に。言ってなかったっけ。アタラクシアだよ。覚えておいてね。あ、でも呼ぶときは変わらずアーちゃんでお願いね」
アーちゃんがそう名乗ると、鑑定結果のスクリーンがジジジっと自動的に修正される。
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【個体名】アタラクシア
【種族名】人族
【レベル】9
【スキル】〈肉体再生〉
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(……何だったんだ?)
(鑑定が失敗するなんてことがあるのだろうか?)
(ルドルフなら何か知っているかもしれない。今度聞いてみるか。)
アーちゃんはサンドイッチを食べ終わると「わたしを驚かせたお詫びとして洗い物やっておいてね」と言いながら俺の頬にキスをして自室へと帰っていった。
俺はナイフとチーズグレーターとお皿を洗ってまたゴミ布の山に
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