第98話 未到達エリア
テントの中で僕は目を覚ました。
ダンジョンの中なので朝になったかはわからない。
眠くはないので、十分に寝たとは思う。
今度時計が創れないか試してみよう
僕は隣で寝ているお姉ちゃんを起こすことにした
「お姉ちゃん、起きて」
「うーん、おはよう」
「おはよう、多分朝だよ」
僕はお姉ちゃんが身支度している内に朝ごはんを用意する
用意と言っても、アイテムボックスから取り出すだけだけど…
「ありがとう。食べたらボスと戦いましょう」
「うん」
朝食を食べた後、ボス部屋に向かう
ボス部屋に向かう最中に出会った魔物がこちらに気付く素振りを見せた。
僕は攻撃される前に倒す
「隠密の効果がきれかけてるみたいだから掛け直すね」
僕は隠密魔法を掛け直す
「一応言っておくけど、普通はこんなに支援魔法の効果は続かないからね。昨日掛けた魔法が次の日も残ってるなんてありえないからね」
「そうなんだ。普通はどのくらい保つの?」
「種類によるけど、強化系なら戦闘毎に掛け直すくらいよ」
「それは大変だね」
身体強化は一度掛けたら数時間は持続しているし、防護魔法に関しては攻撃されなければ数日は残っている。
少しずつ効果が落ちるからその前に掛け直すけど、効果時間も異常のようだ
しばらく進むとボス部屋に着いた
「開けてもいい?」
僕はお姉ちゃんに聞く
自分の力はわかったけど、前に挑んだパーティはここで逃げたらしいから、そうはいっても少し不安はある
「大丈夫よ。それにどうせ気づかれないわよ」
お姉ちゃんの予想ではここのボスでも隠密は破れないらしい
「それじゃあ、開けるね」
僕はボス部屋の扉を開ける
20階層のボスもドラゴンだった。
今度のドラゴンは赤色でちゃんと翼があった。
でも、巨体に対して翼は小さい気がする。飛べるのだろうか?
「またドラゴンだね。あの翼で飛べるの?」
「あれはレッドドラゴンよ。あれでも飛べるみたい。翼を動かして飛ぶってよりは、魔法で浮き上がって翼で操舵するって感じかしら」
飛べるようだ。魔法でってことだから、やっぱり物理的には無理ってことだね
レッドドラゴンは扉が開いたことで警戒はしているけど、僕達には気づいていないようだ。
「お姉ちゃんの言う通り気づかれないね」
「やっぱりね。ドラゴンっていってもレッドドラゴンならこんなものよ。10階層の地竜よりはドラゴンって感じだけど、火属性のドラゴンってだけだしね」
「ドラゴンって思ったより大したことないの?」
「そんなことないわ。例えば同じ火属性のドラゴンでも、ファイアドラゴンなんかは全身に炎を纏ってるから近づくことも難しいらしいわ。火魔法は効かないし、並の水魔法じゃ蒸発するだけらしいわよ」
「へぇ、そうなんだね。ファイアドラゴンがいたら逃げたほうがいいってこと?」
「私も聞いただけだからわからないよ。1発攻撃して効かなかったら逃げればいいんじゃない?隠密魔法なんて便利なスキルがあるんだから、近づいても気づかれない相手には勝てる気もするけど……」
確かに目安としてはそれでいい気がする
「そっか。その時になったら考えることにするよ。まあ、戦わないといけないような状況じゃなかったら、迷った時点で逃げるけどね」
わざわざ危険を冒す気はないので、何事も安全第一でいこう
「それがいいわ。無理して怪我なんてしてほしくないもの。とりあえずレッドドラゴンを倒しちゃって」
「うん」
僕はレッドドラゴンを風魔法で倒す。1撃とはいかなかったけど、レッドドラゴンは攻撃する隙も得られずに倒れた。
「そういえばドラゴンの肉は美味しいって聞いたんだけど本当?」
レッドドラゴンを回収しながら、前に冒険者の人に言われたことを思い出した。
地竜の時は思わなかったのは、地竜は美味しそうに見えなかったからだろうか……
「食べた事ないからわからないけど、多分エルクがつくった肉の方が美味しいわよ」
「気になるから焼いていい?」
「いいわよ。私も一度は食べてみたいから」
僕はレッドドラゴンをアイテムから出して風魔法で解体する。
解体なんてした事がないので、雑になってしまったのは仕方ない。そもそも解体といっても食べる分を切り出しただけだ
「そのまま焼いて食べていいのかな?毒とか大丈夫かわかる?」
そもそも、聞いた話だから本当に食べれるのかも怪しい。
毒もそうだけど、寄生虫とかいるかもしれない……
「うーん、食べたことないからわからないわ。毒があっても回復魔法で治せるけど、魔法が使えなくなるくらいに強力な毒だったら困るわね」
「なんだか食欲がなくなってきたよ」
興味心で命は賭けれない
「それなら戻ってから食べましょ。エルクのアイテムボックスなら腐らないよね?」
そうだった。
「うん、そうだね」
僕は雑に解体されたレッドドラゴンをアイテムボックスに戻す
「気を取り直して次の階層に行こ」
お姉ちゃんに言われて僕達は階段を降りる
21階層は沼地だった……
「お姉ちゃん、今回の目的は力試しだったよね?」
「そうね」
「帰ろっか。なんか臭いし…」
「そうね……」
僕達は帰ることにした。
ダンジョンを出て、街に着く頃には夕方になっていた。
僕達は報告と買取をしてもらうために冒険者ギルドに向かう
「エルク、買取カウンターだと迷惑よ。とりあえず受付に行きましょ」
「うん」
僕達はクラリスさんの所へ行く
「クラリスさん、ただいま」
「あ、エルクくん、無事で良かったわ。ダンジョンはどうだった?」
クラリスさんに聞かれて回答に迷う
「う、うん。問題なかったよ」
「問題ありって顔してるわよ」
クラリスさんに言われるけど、本当に問題はなかった。ただ実力を試す以前に、魔物に気づかれなかったと言うだけだ
「問題は本当になかったよ。ダンジョンに挑んでいたって言うよりも散歩してたって言った方がしっくりくるなって思っただけだよ」
「そう……。とりあえず報告を聞きたいから奥に来てくれる?」
「はい」
僕達はまた奥の部屋に通された
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