第26話 ゴブリン討伐

ゴブリンと戦う為に森の近くの街道を探索する


「ゴブリンと戦ったことある人はいる?」

ローザが確認する


「僕は村にいる時に戦ったことがあるよ」


「私は無いわ」

「私もだ」

フレイもアメリも戦った事はないようだ


「戦ったことあるのは私とエルクだけなのね。その時はどうだったの?」


「遠くから風魔法で倒したから、あんまり戦った印象がないんだよね」


「そうなのね。私が戦った時は、ゴブリン2体と戦ってて、魔法を使って倒そうとしたけど後ろから3体目に奇襲を受けたの。問題なく倒せたんだけど、結構悪知恵を使ってくる印象を受けたわ」


「そうなんだ。僕の時はスタンピードだったし、そんな感じではなかったよ。なんかヤバい魔物がいたみたいで、他の魔物も混じってまとまって村の方に逃げて来ただけだったから」


「え?スタンピード?」

フレイが驚いている。

何かおかしな事言ったかな?


「フレイ、エルクの事は深く考えたらダメよ」

ローザがフレイにおかしな事を言っている気がする。


別に僕がスタンピードを起こしたわけではないのに


「そ…、そうね」

フレイもそれで納得するのはやめてほしい。


「それじゃあ、後方も確認した方がいいな。前方のゴブリンは私が倒すから後方は任せた」

アメリは突っ込んでいくつもりらしい

ゴブリンだからいいけど、オーガとか出てきても何も考えずに突っ込んで行きそうで怖い


「ゴブリンが出てきたらそれでいきましょう。前衛は私も一緒にやるわ。フレイは後方の注意をお願いね。エルクは状況を見てサポートをお願い。アメリ、ゴブリン以外が出てきたら、一旦動かずに落ち着いてね」


ローザもアメリが心配なのだろう。


「もちろんだ」

返事が良いだけで何も考えていないように聞こえてしまう……


隊列も一応決まったので、本格的にゴブリンを探す


しばらく歩いているけど見当たらない。

確かに街道沿いにちょくちょくとゴブリンがいるわけないか。

稼ぎは少ないけど、その分戦っている間に他の魔物に襲われたりするリスクも少ない。クラリスさんが勧めた理由は最初だし安全を優先したのだろう


「全然いないね」


「そうね。良い事だとは思うけど、私達は困るわね」


「ほんとだね」


もうしばらく歩いていくとやっとゴブリンを見つけた


やっとか…と思っている間にアメリが倒していた


散歩してるのと変わらないな


「やっと1体か」

本音が漏れてしまった


「最初だしランクも低いからしょうがないわよ」

ローザに正論を言われる


うん、わかってはいるんだよ


「そうだね。地道に頑張るね」


「まあ、物足りないのは私も同意するけどね」


まだ止めるわけにもいかないので引き続き街道沿いを探索する


すると、ゴブリンの集団を発見した


なんか、大きいのもいるけど、ボーナスステージかな。


予想に反してアメリは突っ込んでいかない。

ゴブリンだけど、集団だし一応警戒したのかな?


なんかアメリの顔がこわばっているように見えるけど…気のせいかな


フレイは後方警戒だから仕方ないけど、ローザも動かないな。どうしてだ?


ゴブリンの集団はまだこちらに気付いていないようだし、チャンスだと思うんだけど……


ローザが手で合図を出してくる。

ゴブリンに気づかれないように喋らないんだろうけど、なんの合図かわからないよ。


なんだろう、後ろを指差してるな。いや、僕を差してるのかな。なるほど、僕がやって良いよってことだね。

さっき話してたのが愚痴みたいに思われたのかもしれない。

気を使ってくれたんだね。


僕は手で丸を作って了解と伝える


とりあえず、あの大きいやつを攻撃しておくか。狙いやすいし


僕は手に魔力を集める


「え、何してるの!?」

ローザが慌てて声を出す。

せっかく話さなかったのに、ゴブリンに気づかれてしまった


別にゴブリンくらい気づかれてもいいけど、そうまでして何を慌てて伝えてきたんだ?


……わかった。火魔法で燃やそうとしてたからだ。

討伐証明が必要だもんね


僕は一度魔法をキャンセルして風魔法に変更する

何故かローザが慌てている。ゴブリンも迫ってきてるし、とりあえず撃っていいよね?ダメだったら後で謝ろう。


「ウインドカッター」

言う必要はないけど、もうゴブリンにはバレてるし気分の問題だ


風の刃は狙い通り、1体だけ大きかったゴブリンの胴体を切断する。

よし、狙い通りだ。


ローザは口をパクパクしている。

見るとフレイとアメリもこっちを見ていた。


いくらゴブリンだからって気を抜きすぎじゃないかな?

なんかゴブリンも慌てた様子でこっちに向かってきているし、しょうがないなぁ。


僕は風魔法で残りのゴブリンも処理していく

「ウインドカッター」


やっと気を張り直したアメリもゴブリンを斬っていき、問題なく戦闘が終わった。


後方からは襲ってこなかったな


「僕に出番を譲ってくれてありがとうね」

気を使ってもらったんだからお礼は言わないと


「え……、あ、うん。大丈夫よ」

ローザの様子が少しおかしい気がする


「どこか怪我とかしてたら治すよ?」


「ふぅ。大丈夫よ、怪我とかはしてないわ」

戦闘後だったから、息切れしてただけかな


「とりあえず、討伐証明切り取っちゃおうか」


「そ、そうね」


僕はゴブリンから証明部位を切り取っていく。


その間、3人は何か相談しているようだ。

女の子同士で話したい事もあるのだろう。僕は空気が読めるのだ!


相談が終わったのを確認してから、声をかける


「討伐証明集め終わったよ」


「あー、うん。任せてしまってごめんなさいね」


「全然大丈夫だよ。結構ゴブリン倒せたけど、どうするの?全部で……16体かな」


「エルク、気付いてないのか?」

アメリに深刻な顔で聞かれるが何のことだろう。

……あぁ、ゴブリンの死体を処理してなかった、ちゃんと処理しないと他の魔物が寄ってくるからね。危なかった。


「ごめんごめん!忘れてたよ」

僕は火魔法でゴブリンを燃やす


「……言った通りでしょ?」

何かローザが言ったようだけど、少し離れてたのでよく聞こえなかった。


「何か言った?」


「何でもないわ。十分倒せたし帰ろうか相談してたの」


「そっか。それでどうするの?」


「帰りましょう。報告は私がやっておくから街に入ったら解散しましょうか」


「いいの?面倒なこと任せちゃって」


「いいのよ。少しギルドにも用があるしね」


「わかったよ。ありがとう」


街に戻ってきた。


「それじゃあ、ギルドへの報告ありがとう。先に帰るね。初依頼が何もトラブルなく終わって良かったね」


「そ、そうね。…また、学校でね」


門の前で解散して寮に帰る


明日は休みにするとの事なので、明日はソロで何か依頼を受けようかな…

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