第53話 新しい種族!☆

「ライトさぁん。好きぃ」

「ライトさまぁ」


 二人の美女が甘い声を出しつつ俺をベッドから離してくれない。

 っていうか異形の襲撃を退けてから丸一日が経つんですけど。

 そろそろトイレとか行きたいんですけど。


「大丈夫です! 飲んであげます!」

「ライト様から出たものでしたら喜んで!」

「変態か。ほら、いい加減にしてくれって」

    

 さすがに恋人に飲ませるわけにはいかん。

 少し強引にベッドを出ようとするが。


 ――シュルルッ 


 アーニャの蛇の尻尾に捕まり、再びベッドに引き込まれてしまった。


「君達ねぇ……」

「離して欲しかったら愛してるって言って下さい!」

「私もー!」


 いや、愛してるって言う度に求めてくるじゃん。

 うーん。今まで言わなかった俺が悪いのかもしれないが、さすがに疲れてきたぞ。

 仕方あるまい。彼女達には眠ってもらうとしよう。


(感度調整をアクティブに。3倍に設定)

【受付完了】


 リディアとアーニャの弱いところに手を伸ばす。


「んひぃぃぃんっ!?」

「あひぃぃぃんっ!?」


 ようやく二人が離れてくれた。

 毛布がびっしょり濡れることにはなったが。

 何に濡れたのかは彼女達の尊厳を守るためにも黙っておこう。


 家を出ると、そこには先日まで異形との死闘を繰り広げたとは思えないほどの平和な光景が広がっていた。

 エルフ達は弓の手入れやナババの実を粉にしている。

 ラミア達も同様に農作業だったり櫓の整備、ダイヤの破片を槍にくくりつけていたりと忙しそうだ。


「グルルルルッ。ようやく起きたか」


 と後ろから声をかけられた。


「デュパか。おはよう」

「もう昼だぞ。朝も夜もなく睦おってからに。うるさくてかなわん。しかし感謝はしなければな。異形を退けられたのもライトのおかげだ」


 デュパは頭を下げた。

 よせよ、照れるだろ。


「止めろって。それにしてもこれからしばらく異形の襲撃には気を付けないとな」

「グルルルルッ。その心配は無い。少なくとも半年の間はな」


 ん? どういうこと?

 デュパは説明してくれた。

 昨日は年に二回ある双子月が同時に満月になる日だったそうだ。

 その日は異形だけではなく獣も狂暴になるんだと。

 

「へー。今の話だと次の大規模な襲撃は半年後ってことか。さすがはデュパ。長年森で暮らしてきただけあるな」

「グルル。だが異形が毎夜やってくることには変わりない。注意することだな」


「分かったよ。それじゃ俺は風呂に入ってくる。デュパもどうだ?」

「風呂は入らんのだが……。しかし話したいことがある。付き合おう」


 おぉ、初めてデュパと風呂に入れるぞ。

 しかし彼は体を洗ってすぐに風呂を出てしまった。

 仕方ないのでそのまま一人で風呂に入っていると。


「そういや話があったんだっけ?」

「その通りだ。蚕だったか? お前が言った通り繭を作ってな。あのまま放っておくのか?」


 マジか!? やっぱりあの芋虫は蚕のでっかいバージョンだったか!

 むふふ、これで絹糸が採れるぞ。

 でも成虫になると繭を破って出てくるんだったな。

 そうなる前に繭ごと煮て中の虫を殺さねばならない。

 かわいそうだが絹糸を採るためだ。


「グルル。ならば中の虫は食ってもいいということか?」

「ま、まぁ止めないけど……」


 俺の話を聞いたデュパはちょっと嬉しそうに去っていく。

 あれは食べるつもりだな。

 さて、絹糸が採れることは嬉しいが、そろそろ家に戻らないと。


 着替えを終え、家に戻りベッドを覗くとリディア達はアヘ顔をしつつピクピクしてる。

 あちゃー、さすがに3倍はやり過ぎたか。


「だ、大丈夫?」

「だめでしゅ~」


 駄目だったようだ。

 とりあえず掃除をするためリディア達は二階の自室で寝かせることに。

 二人をベッドに寝かせてから……。


「少しゆっくりしててな。動けるようになったら起きてきてくれ」

「は、はい。さっきはどうかしちゃってたみたいで。ごめんなさい」


 とリディアは塩で揉んだ青菜のようにしおらしく謝ってきた。

 落ち着いてきたみたいだな。いつものリディアに戻ったようだ。

 部屋を出る前に二人のおでこにキスをしておいた。


 さてと、まずは毛布を洗わねば。

 夜通しイチャイチャしたせいでびっしょりだからな。

 水路はすでに開通している。上流は飲み水として使っているので洗濯には使えない。

 洗濯専用の溜め池に行くと年配のエルフとラミアが楽しそうに洗濯をしていた。


「おはよ。いい天気だね」

「scgaθe urrrry」


 相変わらず何を言っているか分からないが、きっと挨拶をしているのだろう。

 なんとなくジェスチャーを交えながら言葉が分からないなりに話をする。

 

 ん? なんかエルフ達がパンパンと手を叩く。

 ジェスチャーから察すると、どうやら俺達の営みが激しいと言っているようだ。


「ごめんな。うるさかったか?」

「щamoo! urrrry!」


 そんなことはないみたいだ。おばちゃんエルフとおばちゃんラミアはドリフのコントを見たようにガハガハ笑いながら俺の肩を叩くのだから。

 むしろ私達にもしてくれと言ってるみたいだし。


「ははは、俺には二人で手一杯だよ。これ以上恋人を増やすつもりは……」


 んー、増やすつもりはないんだけどねぇ。

 それとは別におばちゃん達はジェスチャーを交えながら話しかけてくる。

 ん? 何々? どうやらおばちゃん達は洗濯用の石鹸が欲しいらしい。


 他には……。洗濯用の溜め池の場所が良くないそうで。

 もう少し村の端の方にあると助かると言っていた……と思う。

 なるほど、利便性を求め住宅から近いところに作ったのだが、それでは排水用の水路が長くなってしまうと。


「分かったよ。今後の参考にさせてもらう」


 意外と話が通じるもんだ。二人のおばちゃんはにっこり笑って去っていった。

 別れる前にさりげなく俺の股間に手を伸ばし、大きさを確かめた後、また大爆笑してたんだが。

 あれってなんなの? 小さかったか?

 セクハラされたー。きっと村民に小さいと噂するに違いない。


 まぁどこの世界もおばちゃんとはいいものである。

 人生経験が豊富な分、若い時は俺もよく彼女達に相談したもんだ。

 今は俺もおっさんになったがね。


 洗濯を終え自宅に戻る。

 出迎えてくれたのはリディア達……ではなかった。


 蜥蜴のおっさんが俺を待っていた。

 

「どうした? 遊びに来たのか?」

「グルル、違うぞ。報告に来たのだ。いつもの時間ではないが遭難者が来てな。空き家で寝かせてある」


 ほう、遭難者か。

 ちなみに自我を失った者の呼称を遭難者とまとめることにした。

 今は俺の力で毎日一人から三人の遭難者がラベレ村に来ることになっている。

 でも村民全員が遭難者を見つけたら保護することは村民全員が知っている。

 今では特に珍しいことではないので報告なんかなかったんだけど。


「グルル。エルフやラミアだったらお前に報告はせんよ。違う種族が来たのだ」

「違う種族?」


「犬人だ」


 獣人きたー。



◇◆◇



☆現在のステータス

名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:120(+20) 魔力:0 

能力:壁レベル3(石)

派生効果①:敷地成長促進

派生効果②:遭難者誘導

派生効果③:感度調整

派生効果④:A/P切り替え

派生効果⑤:モース硬度選択

派生効果⑥:XY軸移動

配偶者:リディア、アーニャ


名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ

力:70(+20) 魔力:110(+30)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

配偶者満足度:2480/100000


名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:100(+15) 魔力:0

能力:薬の知識

配偶者満足度:2371/100000


☆総村民数44人

・エルフ:13人

・ラミア:8人

・コボルト:3人

・リザードマン:20人


☆総村民満足:125/10000


☆現在のラベレ村

・石壁

・敷地面積:5000㎡


☆設備

・家屋:10棟

・倉庫:2棟

・櫓:4基

・畑:1000㎡

・露天風呂:2つ

・水路

・養殖場:運用開始

・金剛石の矢

・金剛石の槍


☆生産品

・ナババ:パンの原料。

・ミンゴ:果物。

・ヤマイモ:生食可。ねっとりしてる。

・茶葉:薬の原料。嗜好品としても優秀。

・カエデ:樹液が貴重な甘味となる。

・豆:保存がきく。大豆に近い。

・キャ采:葉野菜。鍋にいれたい味。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



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