第52話 これがボスだって!?
休息をとった後、僕達はボスフロア前にきた。
「さぁて、そこまで難しくはないが気を付けて行くぞ!ちゃんとタリスマン付けたか?」
「大丈夫です!」
最後の確認をして僕達は部屋に入った。おぉー…ほんとに馬面の人だ。ナイトメアってよく悪魔とか夢魔に分類されるよね。いきなり両手を広げてこちらに構えているんだけど、ザインさんもアグスさんも特に気にした様子がない。
あれ?ナイトメアが何度も焦ったように手をこちらに構えるんだけど何しているんだろう…
「これ見るたびに悲しくなるわね…」
「あぁ…最大の攻撃が防がれた時の絶望感ってやつだな。」
「さっさと倒してしまおうぜ!」
あぁぁ…なるほど、あれは僕達に状態異常をかけようとしていたんだね。夢魔っていうからには睡眠からの悪夢をみせるとか幻覚を見せるんだろうけど、事前に準備しているとこんな悲しい状況になるんだね…ザインさんとアグスさんが部屋の角に追い詰め袋叩きにして終わった。
「なんか、ほんとボス戦なのかって思いました…」
「そうよね…でも、タリスマンがないとかなり苦労するわ。魔法使いや治癒士が状態異常を防いで睡眠状態になった人を起こさないといけないし、対処が遅すぎると味方に攻撃しだすからね。」
魔力の扱いに長けている人は魔法防御もしくは状態異常耐性が高いってことなのかな?やっぱり全ての基礎に魔力操作があるんだね、前衛職はそこを鍛えるなら筋力とか体力鍛えるんだろうけど…ザインさんがそうだね、アグスさんは魔法もそれなりにこなす感じ。
「お!ボスから脱出用のスクロールが落ちたぞ!」
「これで保険ができたな。少しは楽ができそうだ。」
「慎重に進めてもよさそうね!次の階からのゴーストやリッチ、ネクロマンサーなんだけど私達のパーティーなら全員武器に魔力を纏わせられるから大丈夫よ。状態異常より、指揮系統をしっかりさせるリッチやネクロマンサーを先に狙う事になるわ。あいつら、新しいゴースト呼び出すのよ。」
順番に倒さないといけない魔物群って感じになっていくのか。これだとボスも順番に部位を破壊しないといけないやつも出てきておかしくないな…
「魔力を含ませた投網でも使います?形が変わるゴーストだったら意味がないでしょうけど…」
「どんな網だ?…これくらいの抜け穴だったらきちんと捕獲できると思うぞ?これも向こうの世界の道具なのか?」
「そうですね、漁業で使う網になっていますよ。なら僕がゴーストをこれで抑えておくので指揮官をよろしくお願いします!」
「いつもだったら倒すの邪魔されるけど、これで援護されるなら大丈夫そうね!ま、油断はしないけど!」
道具に魔力を這わせているだけだから殺傷能力とか関係なくて補正かからないんだよね。ヒントとしては前に山賊捕まえたロープの時に思いついたんだけど、対人だったらこれは使えないからなぁ…
魔力を這わせることで強度が補強されるし操作できるってのがいいんだよね。
あ、前の方から魔物がきた。
「ネクロマンサーやリッチは特殊な攻撃とかしてこないんですか?」
「特殊っていうのか分からないけれど闇属性の魔法を使ってくるわね。特に状態異常にはならないけれど食らうと魔力をごっそり取られてしまうの。ゴーストに攻撃されても魔力が取られるのよねぇ…」
「替えの剣が死霊特化の剣だから魔力を這わせる必要ないぜ!メインは俺で援護にアグスとリディだな。今回は温存しながら行っても大丈夫そうだしな。」
ザインさんがリッチにとどめを刺しながら答えた。なるほど、死霊特化で武器に魔力を含ませているとそれだけで対応できるのか。
「助かるわ!普段だったら倒すのにも魔力を消費するしダメージ食らっても魔力が減るからじり貧なのよねぇ…」
「今回はワタリの道具があるからな。それだけで魔力の消費が抑えられるのはでかい。」
アグスさんやリディさんにも好評のようだ。まぁ指揮を行うやつにばかり注意を向けていると後ろから攻撃とかされちゃうもんな。僕がゴーストを抑えておくことで討伐速度もあがってより安全にってことなんだね。
「これならすんなりと24階まで行けそうだな。罠のほうが危なそうだが…ワタリ、リディ頼むぞ!」
「任せといて!いつも以上に余裕あるんだから失敗しないわよ!」
フロア全体が広くなっていくからそれだけで結構時間かかるんだけど、ザインさん的には休憩なしで24階まで行けるってことなのか。今まで5階層事に罠の種類や数が増えていたんだけど、ここからはそこまで変化がないように見える。でもリディさんが言うには発見しづらくなっているとのこと。僕が変わらない様に感じたのは魔力操作や感知レベルが高いかららしい。物理的なほうはリディさんが結構苦労しながら探しているのをみると難しくなっているのが分かる。僕も補助出来ればいいんだけど…明かりを強めるくらいしか出来ないし…もうちょっと鍛えないとだな、無事に戻れたら罠調べないと!実際に罠を見て、解除を見て、どんなものなのかを書物で調べるっていう手順も悪くないだろうからね。イメージが湧かないし。
認識に差が出来ちゃいそうで怖いけれど普段の攻略というか別のパーティーの状況が知れないから比較出来ないのがなぁ……罠と魔物の攻略さえしっかりとすれば時間かけてでも進んでいけるんだね。
ザインさんが僕が投擲して捕まえたゴーストをぷすぷすと刺していくの見るとこんな攻略でいいのか心配になった。
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