異世界へのすゝめ

相坂ねび

1章 リアル過ぎるVRはゲームと言える?

第1話 プロローグ(改訂版)

 昨今AIが発達し各分野で事務や管理など簡単な仕事はAIに取って代わられたため、手に職を持っていないと厳しい世の中になっていた。そんなご時世だから家族は僕に厳しく教育を施していた。両親に期待をされていた僕は小さいころ様々な分野の習い事をしていた。

 でも僕はその期待に応えられなかった…習い事に毎日通っていたのにどうしても1番になれなかった。塾に行っていない人に勉強で負け、部活しかしていない人に大会で負け、音楽、絵でもあっさり追い抜かれてしまった。


 そんな僕に両親は辛く当たった。そして、両親は僕の見ていない所でよくケンカをするようになった。


「なぜあいつは1番になれないんだ!あれだけ高いお金を払って習い事をさせていたのに!お前が甘やかすからだ!」


 期待に応えられない自分が申し訳なく思い、両親の元を離れ一人暮らしすることを決意した。



「短い時間だったけれどバイトしといてよかった。なんとかして仕事を見つけないと…」


 両親から離れ心が少し軽くなる感じがした。郊外にあり1DKで風呂トイレ別という一人暮らしなら十分すぎるほどの環境だ。



「なんでも出来るけどその分野の人たちに比べると見劣りするもんね…僕って器用貧乏だからなぁ…親は理解してくれなかったけれど…

 高卒で採ってくれる会社はちょっと怖いイメージあるからなぁ…ストレス発散のために描いていたイラストや3Dモデルをメインにまずは個人で頑張ってみようかな。」


 昔から描いていた絵をAwordにあげて呟いてたんだよね。意外と見てくれる人がいて嬉しかったしアプリの立ち絵起用とかあって小銭稼ぎになってるし。

 ただ、権利を買い上げられてからアニメ展開する所も多かったから今じゃ渡さないけど…そんなことがあって、不労所得というかイラストや3Dモデルの使用料が入ってくるんだよね。今じゃVtuberも数多くいるし依頼もくるんだけど、誰かの親ってわけじゃないけどね。イラストから3D起こしばかりだよ…

 苦労に見合っているか分からないけど、頑張りますか!

 


 2年ほど経ち生活が安定し始めていた頃、世間はVRの話題1色であった。なんと5感全て再現でき安全性も保障されたMirror world(鏡面世界)通称ミラルドが発表され、対応ゲーム:異世界へのすゝめのCβが終了したばかりなのだ。

 別世界、転生したみたいだ、NPCの感情表現が豊かなど肯定的な意見もあるが逆に生産がリアルすぎて出来ない、敵が強すぎ、スキル習得がわからん、マゾゲーというのが大半なようだ。


 しかし人々は5感を再現したゲームに魅了された。かくいう僕も惹かれた。マゾく、リアルなら努力がきちんとスキルという技術に反映されるだろうし卒なくこなせるならソロでも遊べる可能性があるからだ。

 こう…攻略組って苦手なんだよね…生き急いでいるというか…せっかくの別世界なんだから観光とかでも楽しめると思うし。なら自分のペースで遊べるソロ主体でのんびり探索していこうかな。


 うん、方針は決まった!

正式サービスは2か月後、その前になんとしてもミラルドを手に入れなければ!

こういう時、時間をとりやすい仕事内容にしていてよかったって思う。バイトや企業に勤めていたら長時間プレイできないし…イラストもモデリングも作業早いほうだからそこまで納期に追われないし。



  1か月後…

 

 おおー、これがミラルドか!ヘッドギアタイプとかデスゲームの印象が強いけれど大丈夫だよね…?たしか性別や身長などは弄れないんだっけか。リアルとの乖離による影響の有無っていうのが一時期問題になっていたらしいし。

 あとは顔も別世界に合うようにリアルからちょっと変わるくらいだからPKやストーカー被害対策で脳波と装置から識別出来るんだって。リセマラを出来ない様にして少しでもサーバーの負担を軽減とかなんとかもあった気がする。

 確かに顔とかリアルから変わっていなければ犯罪に走る人いないよね。特定されて叩かれるだけだし、異世界へ行くって感覚だから現地のルールも大事になってくるのかな。きちんとそのあたり調べないと大変なことになりそう…

 

それじゃあとはサービス開始まで依頼こなしてこっと!

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