第31話 リベンジ

召喚覚醒Lv3に無詠唱。

風の大精霊の力で得たスキルだ。


召喚覚醒はレベルが上がった事で召喚だけではなく、仮契約サモンフレンドをかけた相手も覚醒させる事が出来る様になっている。

これにより、彩音や他の仲間達も覚醒させる事が出来る様になったわけだ。


召喚ブーストで実質レベル100底上げの上に全員覚醒。

更には俺自身も召喚融合サモンフュージョンで大幅強化。

これなら厄災相手でも、十分に勝機はあるはずだ。


無詠唱の方はその名の通り、俺のスキルの詠唱時間を0にしてくれるパッシブスキルになっている。

これで転移魔法系統が詠唱無しで使える様になった。

瞬時に離れた場所にいるリン達を呼び出せるようになる為、これもかなり便利なスキルだ。


≪準備はいいかい?≫


神様の声が頭に響く。


≪まだの様なら、準備ができた時点で私に声をかけてくれ≫


≪はい≫


リンとガートゥ、その横に並ぶガーゴイル2体の方を見た。

彼等には既にブーストと覚醒をかけてある。


ガートゥはムキムキ状態――ゴブリンキング――に変身している。

色っぽい方――森の守護者ドライアード――より、此方の方が単純に戦闘力が高いためだ。


リンの方は 神姫プリンセス状態。


戦闘力なら血の殺戮者ブラッディマーダーの方が高いが、リンには彩音の回復をして貰わなければならない。

それに彼女は蘇生魔法が使える。

万一の事を考えると、前衛という危険なポジションよりも、比較的安全な後衛として戦ってもらった方がいいだろう。


ガーゴイル達はいつも通りの姿である。


これは他の召喚達も同じなのだが、どうやらリンやガートゥの様な例の方が稀で、ほとんどの場合覚醒させても形態やクラスは変化しない様だった。

まあ、能力自体は飛躍的に向上しているので特に問題は無い。


そして俺はガーゴイルの一体と融合していた。

これは最初に空中で彩音を救出――可能ならばリングも回収――する必要がある為だ。


因みにケロは風の大精霊に一時的に預けて来た。

流石にあの子を連れて戦うわけには行かないからな。


「これから厄災との戦いが始まる、皆準備は良いか」


「はい!頑張ります!」


「おう!腕が鳴るぜ!!」


言葉の喋れないガーゴイル達も、腕を上げて俺の言葉に答えてくれる。


彼等にはこれから厄災戦での足止め役として、死んでもらう事になっていた。

本当に死ぬわけではないとはいえ、当然痛みはある。

にもかかわらず彼らはそれを気にする事なく笑顔で答えてくれた。

俺はそれが嬉しくて彼らと握手する。


「さあ!いくぞ!」


≪神様オッケーです≫


ルグラントの大壁に手をついて、神様へと合図を送った。


≪わかった。じゃあ送るよ≫


次の瞬間視界が変化する。


そこはセピア色の世界だ。

手も足も動かず、目の前には此方を覆い尽くさんとする厄災が映り。

すぐ横にはボロボロに傷ついた彩音の姿があった。

そして俺の手の中には支配者の指輪ルーラーオブザリングが握られている。


あの時と同じだ。

何もできず絶体絶命だったあの時と。


――だが今は違う。


――俺は返ってきた。


――厄災を倒すために!


≪さあ、時間を動かすよ。健闘を祈る≫


時が動き出し、世界に色が戻る。


「おらぁ!!」


俺は片手で彩音を抱きしめつつ、厄災に全力の蹴りを叩き込み吹き飛ばす。


さあ、リベンジ開始だ!!

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