ゆきずり
「今日は“ゆきずりの素麺”だぞ」
休日の午後、私達家族は夏らしく庭でゆきずりの素麺をする事にした。
半分に割った竹の上から、私が水と素麺をゆきずらせるのだ。
妻と子ども達は、キャッキャと騒ぎながら素麺を箸で掬って食べた。
「あなた、これ“ゆきずりの揖保乃糸”じゃない。嗚呼、何てかりそめでしょう。美味しいわ」
妻が涙を流した。
「パパ、ゆく素麺の流れは絶えずして、 しかももとの揖保乃糸にあらずだね」
子ども達も涙を流した。
「おいおい、そうしてる間に素麺がゆき過ぎてしまうぞ。さぁ、どんどんゆきずるからな。みんな上手く食べろよ」
私は涙を堪え笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。