異世界に表計算ソフトはありません
俺は、本当に。
強く、強く思いました。
「表計算ソフトが欲しい!」
メニュー数も来客も売上も伸びて。
報告書が、結論以外、もう頭に入ってきませんでした。
そこで、今回は、別の角度で考察を行います。
売れ筋メニューランキングです:
・1位:チキン南蛮定食 [26]
・2位:唐揚げ定食 [19]
・2位:コーヒー単品 [19]
・2位:ピザサンド [19]
・5位:バターサンド [17]
・5位:ミックスサンド [17]
・7位:テキヤキポーク定食 [14]
・8位:和風おろし定食 [7]
・9位:チーズハンバーグ [6]
・10位:生姜焼き定食 [5]
[圏外]
・ナポリタン [4]
・テリヤキポークサンド [4]
・BLTサンド [3]
・トマトチキングリル [2]
・緑茶単品 [1]
・トマトハンバーグ [1]
・ビッグハンバーガーサンド[1]
さて、ここからが考察です:
・なぜ、売上が倍増したか?
・その理由は単純で、人通りが前大陸よりも増えたからです
・過去最大の売上、嬉しさもありますが
・正直、もうこれ以上、昼の顧客は増やせません
・それは、従業員数ではなく、コンロの数の問題です
・ライザさんは、コンロを使う仕事以外を、全てこなしてくれました
・(例)皿洗い、カッティング、盛り付け
・ミエルさんは、注文取りと配膳
・それでも、もう、間に合いません
・ただ、現状では、この程度の売上をコンスタントに出すことを目標にしようと思います
・さらに上を目指すのは、喫茶店がレベルアップしてからと考えます
・売上数1位は、やはり『南蛮くん』でした
・もはや、社長賞ものです
・そこからは、単価が安いメニューが人気という結果だと思います
・前大陸と同じく、主要顧客は冒険者で、次が商人さん
・しかし、この大陸、この街道では、『非武装の人』の来客が多かったのです
・これは、この街道沿いの治安が良いことを意味しており
・また、地方からガンダルへ出稼ぎに行っている人が多い、という考えも浮かびました
・意外に健闘したのが、『テリヤキポークハンバーグ』でした
・『テリヤキとマヨネーズの相性が抜群』との好評をいただきました
・その割に、『生姜焼き』が伸び悩みました
・どうやら、この地域の人は、自分で生姜焼き、作って食べるそうです
・『ビッグハンバーガーサンド』が1個売れました
・でも、作るのが面倒なので、一旦封印しようと思います
・同様の理由でナポリタンも封印
・麺を湯がくのに、どうしてもコンロを占有してしまうのです
・『いかに昼の来客を
*****
「ミエルさん、ライザさん、お疲れ様でした。
おふたりのおかげで、過去最大の売上を達成できました」
営業成績表、および売れ筋ランキングを見てもらったうえで。
俺は、深く頭を下げる。
正直に、思ったのだ。
「これ、ライザさん、いなかったら、死んでました」
「助けになったようで、何よりだ。
・・・。
で、来週から、どうすんの?」
「ライザさん、もう、正式に、うちで働きませんか?」
「私が、イエスと言うと思っているのか?
私の関心領域には、『武器』という2文字しか、入ってこんのだよ」
「ですよね〜」
「これで、改めて、従業員確保が必須になったわね。
覚悟を決めなさい」
「その通り、だと思います」
最優先事項が更新された。
バイトさん、いいひと、見つかるといいな。
*****
「5,000Gです」
「なんだ?この金」
「バイト代です。
方程式が崩れました。
俺の中にあるのは、『ライザさんの尽力>居候代』という不等方程式です。
この余剰分を、このお金に乗せてあります」
「まあ、ありがたく受け取っておくよ。
サンキューな」
「そして、ミエルさん。
ミエルさんにも、バイト代を払います」
「その、約束だったわよね」
「5,000Gです」
「強く・・・、出たわね」
「俺の中にあるのは、『ライザさんの尽力>ミエルさんの尽力>
天使でも、今は
あと、せめて、カッティングと、盛り付けの手伝い、くらいは、してください。
・・・。
してくれると、うれしいなぁ・・・、なんて」
「・・・」
「厳密に言うと、転送魔法を使ってくれることが。
なによりもの恩恵なのですが。
一旦、そこは置いておいて。
・・・。
一緒に、作りましょう。
料理」
「はぁ・・・。
まあ、最初から。
バイト代がいくらでも、文句を言うつもりはなかったわ。
私も今回は、『ギルイベ』で忙しかったし。
次回は、もう少し、『ウェイトレス』、してあげる」
「よかった。
これからも、よろしくお願いします」
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