喫茶店レベルアップ時の敷地拡張量は、あらかじめ決められています

「この、『喫茶店Lv2』、ってのは、なんだ」


 その言葉で。

 俺は、アイコン看板を、扉上に付けたままにしていたことに気づく。

 扉を開けて、外に出て。

 アイコンを外すと。

 その瞬間、アナウンスが流れる: 


・喫茶店の売上が一定値に達しました、レベルアップします

・現在喫茶店レベル3です

・喫茶店面積拡張は、次回喫茶店開放時から反映されます


「ここで、くるんか!

 喫茶店、レベルアップ!」


「どうした、タドル?」


「喫茶店、レベルアップです」


「よくわからん」


「そういう転生特典なんです。

 売上に応じて、床面積が広くなる仕様なんですよ」


「喫茶店、内部・・・。

 特に変化はないが」


「サイズ変更は、次回喫茶店開放時からの反映なんです」


 そんな説明をしている間に、ミエルさんが喫茶店の外へ出てきた。

 俺の声が聞こえていたらしい。

 さすが、地獄耳。

 ライザさんの肩を押しながら2人で。

 酔っ払い気味のライザさんは、なんのこっちゃ、という感じだが。

 

 ただ、これで、『喫茶店内部に動物が含まれないこと』、という喫茶店収納の条件が整ったことになる。


「喫茶店・クローズ!

 アンド、喫茶店・オープン!」


 一瞬、草原の草が見えたのち、すぐに喫茶店が再展開される。

 そして、今回は、すぐに理解できたのである。


「横幅が、ちょっと広がった!」






*****






 そこから、喫茶店の模様替えが始まったのでした。

 ダルトさん、ライザさんの2人が手伝ってくれたので、その模様替えは5分で完了しました。

 ここからは、模様替えの詳細になります:


・喫茶店の両側に、人一人分くらいの空間ができていた

・最初にミエルさんのベットを壁際につけて

・そこからミエルさんは、すぐに仕事に戻りました

・あとは、全体的に、全てのアイテムを両の壁に近づけて行きました

・が、ここで急に思い立ち

・2人掛け席を、2つ増やすことにしました

・この席は余ったテーブルとイスでクメンしますが

・まず、これを左の壁際に寄せて

・逆に、壁際に寄っていた、観葉植物や棚などを、横にずらし

・これらが、ドラゴンソファーと、新規2人掛け席の中間にくるように配置しました

・ある意味、観葉植物などがパーティションの役割をしてくれている状態です


「おふたりとも。

 手伝ってもらえて、助かりました」


「こっちこそ、おもしろいもん見せてもらった」


「いいなぁ・・・。

 私も、こういう転生特典にすればよかったかなぁ。

 でも私、転生特典1個だったし」


「ライザさんの転生特典って、どんなですか?」


「まだ内緒だよ」


「でも、なんか、武器に関することのような気がしますね。

 ちなみに、ダルトさんの、そのデッカい黒い斧。

 その先端に付いているのが、『ルーラーの爪』なんですよね」


「正解だ」


「顧客情報、バレちゃってたねー」


「タドルのおかげで、いい武器と巡り会えたぞ」


 ドラゴンルーラーは雷の属性の魔法を使う。

 その素材が使われているこの斧にも、雷の特性が付加されているのかもしれない。

 そんな考察が生まれた。






*****





 ここで日が暮れ。

 あたりは真っ暗に。

 ならなかった。

 それは、ガンダルの街、山のフモトに、明かりがともっていたからである。

 ここから、ガンダルの街の発展具合も垣間見ることができる。


「この光景も、美しいなぁ」


 なんてつぶやきながら。

 俺は喫茶店の外で、感傷にひたっていた。


 本日、改めて、みんなで、イベントタイムラインを見て。

 今日で82日目。

 約3ヶ月の大冒険。


「いろいろあったけど・・・、楽しかったなぁ」


 そんな俺の隣に。

 天使がやってきて。

 優しい笑顔を見せてくれる。

 思えば、この人には、お世話になりっぱなしだった。

 感謝を、伝えよう。


「喫茶店の経営も軌道に乗ってきて。

 異世界の生活にも、慣れてきたんじゃない?」


「そうですね。

 それも、これも、ミエルさn・・・」


「じゃあ、今からの喫茶店の経営では、『私に給料を払いなさい』。

 そして、『近日中に、もう1人、従業員を雇う』、こと。

 以上2点、厳守。

 さあ、ここから、もっと頑張ってもらうわよ、店長!」


「ギャーーーーーーーーーーー!!!!」

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