第749話 アヴィドダンジョン・19
「結局視界を奪う攻撃はしてこなかったな」
「もしかしたらあの攻撃は魔法で、集中しないと使えなかったのかもしれないな」
アルゴの呟きに、俺はシーデビルとの戦いを思い出しながら答えた。
時々魔力の高まるのをシーデビルたちから感じたが、攻撃を受けたらそれが途中で霧散したのが分かった。
魔法は準備中に邪魔をされると失敗する時があるから、あながち間違いではないような気がする。
「残りはどうする?」
「人数分の魔石は確保出来たし、一度ここを離れるのがいいんじゃないかな?」
魔物も数種狩ることが出来てアイテムボックスに溜まっているから、そろそろ解体をしたいところだ。
「なら安全地帯まで戻って解体でもするか」
アルゴはヒカリを見ながら言った。
ヒカリはそれを聞いて喜んでいる。
「それじゃ転移で飛ぶな」
歩いて戻ってもいいけど、遠見スキルを併用した転移で安全地帯まで戻る。
もちろんMAPや遠見スキルで他に人がいないことを確認してだ。
「けど解体の仕方は分かるのか?」
「そこはうちのクリスに任せておけばいいのよ」
ルリカがクリスの背後に回り、肩に手を添えながら言った。
俺も資料を見て解体の仕方は記憶しているし、大丈夫だろう。
今回倒した魔物の中で食材として使えるのは、サハギン、リーパー、フロストゲーター、ポイズンフロッグ、シーデビルだ。
サハギンは皮を剥がしてあるけど血抜きはしていないので、一緒に行う。
魔物を吊るす用の柱を設置して、血抜きを開始する。
この辺りは他の魔物と変わらない。
血抜きが終わるまでは見張りをする者、装備の整備をする者に分かれて過ごした。
ここでやるならいっそダンジョンから出てやればいいと思うかもしれないが、ここで狩る人は少ないから、欲しい人が殺到しても困るからここでやることに。
借家では無理だから、解体をするとなるとギルドの解体場を借りなくてはいかない。
「アルゴ、解体が一段落したら一度ダンジョンから出るか?」
「別にこのまま残って狩ってもいいんじゃないか?」
「アルゴ、ソラがわざわざ言ってきたのは、ダンジョンの外がどうなるか気にならないかってことだよ」
「そうなのか? ま、別にこのまま狩りしててもいいんじゃないか? 仮にまた何者かに攻められても大手クランの奴らがどうにかするだろう。それに本当に手が必要なら、誰かしら呼びにくるさ」
確かに現在三階利用者はいないけど、入る資格を持っている者はいる。
「何だよその顔は」
「いや、アルゴがまともなことを言ったから驚いているんだよ」
ギルフォードの言葉に、二人ほど頷く者がいた。誰とは言わない。
血抜きが終わったら、クリスと俺が中心になって解体していく。
中心といっても俺は補助に近い。
解体が終わったら、次は魔物の血抜きをする人と料理をする人に分かれて作業する。
「ソラ、どの肉が高いんだ」
「資料だとポイズンフロッグだったかな」
三階は見ての通り人がいないことから分かる通り、三階に出る魔物の素材は滅多に流通しない。
三階に来る人も水場には近付かないで、鉱石を求めて荒野地帯に行くからだ。
そのため素材の価値などは資料か、あとは壁に張り出された依頼票で判断するしかない。
その依頼票も随分色褪せていたのを覚えている。
長いこと狩られていないことがそれだけで分かる。
「そうなの?」
「ああ、ただ下処理というか毒抜きが必要みたいだ」
ポイズンフロッグの肉はそのまま食べると毒に当たるとあった。
鑑定すると、全ての肉が毒に汚染しているわけではないようだ。
「どうやって毒を抜く?」
「リカバリーで毒を浄化するみたいだな。ただ他にも聖水を使って毒を抜く方法や、薬草類や魔物の素材を使って毒を抜く方法があるみたいだ。リカバリーよりもそっちの方が手間ではあるけど、美味しいみたいだ」
「む、ならリカバリー禁止⁉」
「けどそうなるとポイズンフロッグの肉は食べ……いや、元々毒のない部位なら食べられるみたいだな」
解析すると毒の汚染がない部分ならそのまま食べることが可能みたいだ。
普通の人だと難しい仕分けも、解析の使える俺にとっては楽な作業だ。
「主、ならそれ食べる」
「分かった。切り分けるな」
毒のない肉を渡したら、早速料理をするみたいだ。
食卓に新しい料理が並ぶのは皆嬉しいからここはヒカリに任せよう。
クリスもミアに解体し終わったフロストゲーターの肉を渡している。
その後も解体は続き、サハギン、リーパー、シーデビルと終わらせた。
リーパーは魚だから刺身と煮付けが良さそうだ。焼いてもいいしここは色々試すか。
シーデビルは吸盤のある足はタコのように食べられそうだ。
体の方はオークとかと同じように普通に肉として食べる感じか? そのまま食べるというよりもひき肉にした方が良さそうだ。筋があって噛み切るのが難しいみたいだ。
料理スキルがあるとお勧めの調理の仕方が分かるから助かる。
ひき肉にするのはセラに任せて、俺は素材を回収しながら、その素材で何か作れるものはないかと調べることにした。
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