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その月明かりと準一が暗闇に馴れてきたせいで、徐々に周りが見えてきました。どうやら準一は無骨なロッカーに囲まれているようです。
「なんだよ、このロッカー?」
「武器が入ってるロッカーよ」
それは姫の声。どうやら姫はロッカーに護符のようなものを貼ってるようです。準一は不思議に思い、質問しました。
「何やってんの?」
「ふふ、転移魔法の
準一はそのセリフの転移魔法て言葉が引っかかりました。
「転移魔法? も、もしかして?」
「そう、そのもしかして」
と言うと、姫は指をパチンと鳴らしました。すると複数のロッカーが一気に消えました。準一の顔が驚きとそれ以上の喜びに変わりました。
「おおーっ!?」
ここは姫の世界の宮殿の大広間。魔法円が強く青く光ってます。たった今その魔法円の中に無骨なロッカーが現れました。ロッカーの中には大型の金庫もあります。ロッカーのいくつかは開いていて、そこから小銃が見えます。
巨漢のコマンダーやそれ以外の兵士たちは、途端に歓喜の顔になりました。
「おおーっ!」
侍従長も歓喜。
「皆の者、喜べ! 姫がさっそく武器を調達してくれたぞーっ!」
再び武器庫の中、準一も
「よーし、オレも!」
ここは監視室。たくさんのモニターが並んでいて、それを数人の係員が見てます。その中の1人があるモニターに起きてる異変に気づきました。なお、そのモニターの映像は暗視スコープのようです。係員は叫びました。
「た、大変だーっ!」
この部屋にいた者すべてがそのモニターに注目しました。
「なんだ!?」
「また武器庫が荒らされてます!」
映像の中では姫と準一が。係員の1人がぽつり。
「お、おい、今度は2人かよ・・・」
その係員が受話器を手にしました。
「あ、もしもし、警察ですか!?」
再び武器庫。今度は準一が指をパチン!と鳴らしました。すると眼の前にあった複数のロッカーがふっと消えました。喜ぶ準一。
「あは、こいつはおもしろい!」
姫は口に
「もっともっと頂かないと! こんなものじゃ足りないよ!」
姫は口から最後の
「あは」
と、遠くの方からパラパラパラという音が。準一ははっとし、姫を見ました。
「あれは・・・ ヘリコプターだ!」
「え、ヘリコプター?・・・」
姫は右手で無くなってしまった自分の左手の袖を掴みました。何か思うところがあるようです。と、突然右手を突き出しました。
「箒よ!」
するとその手に箒が現れました。姫はさっと箒にまたがり、
「今夜はここまでにしましょ! 行くよ、準一!」
「OK!」
準一も同じ箒にまたがると浮上開始。天井に開いた丸い穴に向かいました。
ここは先ほどの自衛隊基地。無骨な建物の天井に丸い穴が開いていて、そこから箒にまたがった姫と準一が出てきました。準一は振り返り、今出てきた穴を見ました。そして思いました。
「やっぱりあの建物の中にいたんだ」
ここで突然のサーチライト。2人がまばゆい光に照らされます。2人ともひるみます。
「うっ!?」
2人が光源の方を見ると、いつの間にか2人の横にヘリコプターがいました。警察のヘリコプターです。
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