第11話

た、大変だ。


俺は学年一のイケメンと比べられて。


彼女の中では、俺の方がかっこいいってことに

なっちまっているようだった。


話は尚も続いていた。


「山吹が何をしたっていうだよ...!?こんな運動もできない帰宅部で!成績も最悪で毎回、補習組なのに!その、ど陰キャに氷室さんのこと惚れさせる要因があるわけねぇんだ...!!」


「スカートの裾がめくれてるの、直してくれたわ...」


「え」


「私が恥をかかないように。

私の下着が男子に見えないように、そっと

直してくれたわ...」


「ええ」


「待て待て待て!

山吹の奴は!氷室さんのスカートの中を見たってことか...!!」


うん、そうだ。


偶然にも俺は水色のショーツをモロに見ちまって。


さ、さり気なく直したまで。


「山吹くんにはね。

私のレース使いの派手な下着をモロに見てしまったわけだから。責任を取って、

彼氏になってもらおうと思ってる...」


「な、なんだと...!?」


「おいおいおい!いつになく、氷室さん、

顔が赤いけど、大丈夫かよ...!」


「触んないで...!」


パシン... !!!


「いってぇ...!」


どうやら。


藤島のやつ。


氷室さんのおでこかどっかに触れようとしたらしかった。


俺の首元から。


左手が外れて。


俺は自由になった。


胸元から解放されて。


自由になった。







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