第5話

俺に対しての罵声が飛んできたときだ。


「おい、何やってる...?」

「もう授業始まるぞ...」



幸いにも授業道具を持った学年主任の怖い先生が、不良ギャルトリオの背後から現れて、


「どうしたんだ?尻もちをついているが、

大丈夫か?山吹」


と俺の名前を呼びながら右手を差し出してくれた。


俺は先生の手に捕まることなく、

慌てて、両手を使って、

立ち上がってみせた。


「あ、なんでもないです...!」


「そうか...」


俺がそう強がり、対して三人組の不良女子は。


「授業行かなきゃ...!」


「そうそう!次は音楽の授業だったよね?」


その場から逃げるように立ち去り、学年主任の先生は三組の教室へと消えて行った。


やれやれと思いながら。


俺はふと、

背後を振り返った。


誰かの視線を感じたからだ。


ばちっと。


氷の令嬢、


氷室さんと目が合った。


心なしか。


いつも、クールで顔色ひとつ変えないのに。


頬がピンク色に染まってた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る