第6話
アルバン・ダナトフside.
リーシュとは子供の頃からの付き合いだったが、彼女はいつも僕の味方だった。彼女は僕が失敗して逃げ出しても、アルバンは悪くないといつも励ましてくれたのだ。
だから僕も彼女が失敗したり逃げ出しても同じように励ました。おかげで僕達の仲はどんどん深まっていき、自然と愛し合うようになった。
しかし、学院に入るとそんな僕達の行動を注意する者が現れたのだ。勉強や常識を学べと。別に僕達は食べるものだって住む場所だって着るものだってある。全て揃っているのに、なんで勉強や習い事をしなければならないのか疑問だった。
だから、二人してさぼったり逃げたりしたのだが、ある日、親の経営が上手くいかなくなり物を買う事すら大変になったのだ。もちろんリーシュに強請ることはできなかった。
なにせ、リーシュの家も経営が傾いているからだ。そんな時に追い討ちかけるように言われたのだ。このままだと平民か修道院行きだぞと……
流石に僕達だって両方がどういう暮らしか知ってるので焦った。しかも、両親が弟の方を優遇するようになった。リーシュの家もだ。
このままだと本当に平民か修道院行きになってしまうと思ったから、おとなしく僕達は勉強をする事にした。
すると生徒会の手伝いまでさせられるようになったのだ。だが、手伝いをさせられているうちにいつの間にか勉強も生徒会の仕事も楽しくなっていた。
しかも、友人もでき始めた。
だが、リーシュは違っていつも一人だった。だから、僕達は誰にもバレないよう隠れながら会うようにした。だってリーシュには僕しかいないから。
そんな時、本格的に領地経営が回らなくなった。だが、両親には秘策があったらしい。しかも僕にしかできないこと、あるパーティーで一人の令嬢フィーネと仲を深めることだった。まあ、乗り気じゃなかったが平民になりたくない僕は両親に言われた通り頑張った。おかげでフィーネは僕に惚れて両親の狙い通り婚約者になった。
すると両親は今度はフィーネを通して融資をしてもらえと言ってきたのだ。さすがにこれは断られるだろうと思ったがフィーネに聞いたら簡単に融資をしてもらえたのだ。
僕は驚いてしまったがそれ以上に良い気分だった。両親からダナトフ子爵領はやっていける。平民に落ちる心配はない。お前は凄いと褒めちぎられたから。
しかも、フィーネと会ううちに彼女の良さもわかってきて会うのが楽しくなってしまった。まあ、肌に触れる行為とかは許されなくてかなりストレスが溜まったが……
そんな時はリーシュである。彼女は沢山触らせてくれるのだ。だからフィーネを触れない分触らせてもらおうと思ったのだが少し距離を置いていた所為でリーシュはかなり怒って大変だったのだ。
まあ、そんなリーシュも堪らなかったが。だから、リーシュに言ったのだ。ダナトフ子爵領が上手くいけばリーシュにだってまた色々とものを買ってあげられるし、僕がダナトフ子爵かホイット子爵のどっちかになればフィーネを追い出してリーシュを妻にできるよと。
すると僕の話を聞いたリーシュはとても喜んでくれた。もちろん、僕はフィーネも手放したくなかったので後で三人で仲良くやれる案を考えるつもりだった。
正直、僕の未来は明る過ぎて最高の気分だった。そんなある日、僕は少し厄介な質問をされたのだ。それは第三王子にフィーネのことをどう思っているかだ。
この人は僕が言ったことを歪めてリーシュに話して仲違いさせようとするから、それを見越してはっきり言ってやったのだ。
「地味ですね……。やっぱり女は華やかでないと。なんで僕がフィーネなんかと婚約しなきゃいけなかったんだろう……」
ざまあみろ。
これなら、リーシュには悪く言えないだろうと。すると、第三王子はニヤッと笑うと金蔓だからだろ?と、聞いてきたのだ。
正直、心外である。だから、僕はこの質問には本当の事を答えるとにしたのだ。
「ふふ、確かに金蔓ですけど僕のじゃなくてうちの親のですよ。全く、うちの親は借金ばかり作って経営能力がないんですよ」
これで、僕は悪くないってわかったろう。第三王子は満足したように頷いた。
これで問題もなくなったと判断した僕はそろそろあることを実行しようとした。リーシュとフィーネの仲を取り持つことである。しかし、いざやろうとしたらフィーネが寝込んだと手紙が来たのだ。
しかも、面会拒否である。確かにフィーネには結婚するまで肌に触れる事も部屋に入るのも許されていない。けど、少しぐらい会わせてくれたって良いじゃないか。
おかげでリーシュに沢山愚痴ったらいっぱい慰めてくれたのだ。
もちろん僕は紳士だから、お返しに服を買ってあげたけどね。だけど、ちょっと愚痴り過ぎたらしい。フィーネが学院に来た時、リーシュが僕の為にフィーネに注意したのだ。
おかげで少しだけ険悪な感じになってしまったが、まあ、僕を取り合ってる感じだったから内心は気分良かったけどね。
だから、今日は僕のために注意してくれたリーシュにたっぷりと時間を使って上げることにしたのだ。
もちろん、次はフィーネである。
この休憩所の近くに美味しい紅茶が飲める場所があるのだ。そこに連れて行ってあげよう。
全く、二人に愛されるって大変だなあ。僕はリーシュを抱きしめながらつくづくそう思うのだった。
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