第32話、桜祐、狂う!

悠里を孕ま・・・せる

自信があるだと・・・💥💢


クソックソックソッ桜祐は畳を拳で叩きつけた


ウオオオオアアアアアアアアアッッッッ!!!!!

ウオオオオアアアアーッ

ウオオオオオアアアーーーー

桜祐は襖を蹴破り天に向かって

叫んだ!


「悠里はぁ━━━━━━‼」


「悠里はぁ━━━━━━━俺の

ゲホッゲホッ


俺の女だった━━━━━━んだっ‼」

🤜💥ドンドン🤜💥ド━━━━━ン‼

桜祐は誰も寄りつけないぐらい

自分を痛め付けていた。



とてもとても苦しそうで

悲しげな叫びは加納一大の耳にも

届いていた。


「酒、酒、酒

酒持ってこ━━━━━イ

酒だ━━━━━━‼」


「桜祐桜祐落ち着け!

落ち着け!医者医者医者を

呼べ‼」


加納家はドタバタドタバタ

天地がひっくり返ったような

変なにぎあい。


屋敷中あかあかと、灯りが灯り

続けた。。


「あなた、悠里に頭を下げて

加納家に帰るように交渉しましょう

このままじゃ桜祐が狂ってしまう。

お願いします。」



「儂は頭を下げた事は

無いんじゃ‼」



「桜祐の為です!

お願いします、あなた‼」



「結婚話も進んでいる

相手がある事なのだぞ

今更白紙には出来ん‼

無理な話だ」



「最初からこんなことなら・・・

ウッウッ

じゃあ桜祐はどうなるんですか?


このままだと・・・

桜祐は

桜祐は



初めから悠里と桜祐は許婚だった

んですよ。


悠里を娶れば良かったのに

こんな事になるんだったら・・」



「雪乃、泣くな‼」

加納一大は目を瞑り胡座をかいて

何かを考えていた。





「桜祐、悪いな

お前に勝った事は無かったけど

悠里だけは譲れない!」


小澤史郎は桜祐の泣き喚く声を

苦しくなるほど聞いて

運転席に座り頭を抱えていた。


「嫁を貰うんだろう

悠里は要らないんじゃないのか?

なんでそんなに、苦しそうなんだ?

俺はお前のそんな声が

聞きたかった訳じゃない。」


エンジンかける気も起きず

ハンドルに持たれ小澤は

項垂れていた。


桜祐はバタバタと走り回って・・・

その足音が響いている


そんなに好きなら

頭を擦り付けてでも加納一大に

許しを乞うべきじゃなかったのか‼

お前が選んだんじゃないか!

馬鹿かよ。

自業自得‼



「日本は一夫一婦制何だぞ!

桜祐の嫁は決まってるんだろ‼

話も進んでるなら

何をどうしたいんだよ!

しっかりしろ桜祐‼」


桜祐の今の状態を悠里に話せば

悠里は間違いなく桜祐の元に

帰るだろう。


あ💦ああ━━━モウッ!!

小澤史郎は髪をぐしゃぐしゃに

掻きむしりハンドルをドンと

叩いた。


なんで俺が苦しむんだ?

そうだ悠里の意見が1番だ

悠里は桜祐を好きなのか


小澤史郎は思い付いた様に

車を回し走り出した。

悠里の待つ彼自身のマンションへ



「ただいま。」



「おっかえりー史郎‼」

悠里は最近帰るとドンとぶつかって

来る。


「ただいま悠里‼」

玄関先からオデンの匂いが漂って

来る。


「史郎、ビール、酒、ワイン

ウイスキーどれにするの

準備に手間かかるんだから

早く言え‼」


「おお、美味そうだな!」




「ねえ━っお腹空きすぎて

たまらん。早く👏早く👏早く👏」


食卓のコンロの火を小さくして


「悠里話があるんだ‼」

史郎はソファに腰掛け悠里を

ポンポンとクッションを叩き

座らせた。



何時もと様子の違う史郎に

悠里はあんまり良い話じゃ

ない事に困惑していた。



史郎は悠里が座ったのを確認

すると悠里の目の前のカーペット

の上に座り直し

悠里を見上げて言った。



「悠里真面目に本気で答えて

ほしい。」



悠里は小澤史郎のいつに無い

真面目な顔を見てゴクッ

そしてコクコクと頷いた。



「悠里は桜祐の事どう思ってる?

好きか?」



Σ(ㅎωㅎ;)エッ💦

「桜祐・・・なんで今頃‼」


「どうなんだ?」


悠里は史郎の暖かい目を見て

全部話そうと決心し

口をひらいた。



「正直私桜祐の嫁になるように

毎日言われながら育ったの

桜祐がこの酷い世界から

引き揚げてくれるって思ってた。」


悠里は悠里の生立ちを小澤に

全部話た。



嫌われても仕方ない、もう嘘は

つきたくなかった。


小澤には又棄てられるかも知れない。

出て行けと言われるかも知れない

そんな恐怖に震えるけど

嘘はつきたくなかった。


小澤史郎は黙って俯いていた。

彼は一言も何も言ってくれない。


悠里にすら今桜祐が好きか分からない

何回も捨てられて好きなんだろうか?

又桜祐の所へかえりたい?


悠里の答えはNO


悠里は小澤史郎に借りている

自室へ入って行った。

身支度を済ませてキャリーバック

に物をつめた。


どうやら小澤史郎は入浴中らしい。

食卓のオデンの中の🐙と

里芋、コンニャクをタッパに詰めて

歯ブラシコップを袋に詰めて

財布と通帳をバックに詰めて


”お世話になりました。

さようなら”


とメモを残し小澤史郎のマンション

を出た。


小澤史郎は1時間は風呂に

入りっぱなしだ‼


もう誰も関わって欲しくない。

なんで彼に頼ってしまったのか

後悔する。


自分の恥をさらけだして

何にもならないのに



私に幸せな結婚なんてあるはずも

無い。

なんせ棄てられっ子なんだから

コロコロと転がるキャリーバック

だけが今の悠里の相棒


どこにいてもこのキャリーバック

だけはついて来る。


高校1年の時の修学旅行で

桜祐が買ってくれた奴で

手元に残ったものはこれだけだ。


東京はもういいかなぁ

悠里は夜行バスに乗り東京をでた。




悠里は都心から離れた街に降り立ち

半年がたった。


近くに大きな病院がありそこの

病院の中にあるコンビニ店員として

はたらいていた。


キャラメルブラウンの髪は、

お下げに、黒縁のメガネをかけて

シマシマの店員服


かつてのキャバ風の悠里では

無かった。

そこへ、意図したように田中秘書が

珈琲を買いにおとずれた。


彼は携帯を差し出し電車マネーで

買い物を済ませていた。


隣の客の接待をしながら心臓バクバク


『何でここに田中秘書が?』

悠里の疑問が持ち上がる。



すると店長が出てきて

「悠里ちゃん

お昼行っといで」


その声に田中秘書は振り返り

悠里を見た。


悠里は素知らぬ顔をしながらも

┣“キ┣“キバグバク


夕方五時悠里の仕事もやっと

終わり病院を出ると


ヤッパ・・・リ


黒光りのする加納家の車が

二台止まっていた。


悠里はバタンと、車のドアを開け

キチンと礼をする田中と、

連れ立つように出てきた

真壁瑞希を見つけた。


「お久しぶりです!

ご無沙汰致しております。」


悠里も2人に頭を下げた。


それから悠里も自分の車に向い

歩き出した。



「悠里様少しお話を・・・」

悠里は振り返り


「もう加納家とのご縁は切れて

います、私に何の御用ですか?」




「実は、ここの精神科に

桜祐様が入院しました。」



「ゲッ‼精神科?何で?」


田中秘書は言いずらそうに

「自殺未遂を何度もはかられて

家での面倒を見れなくなりまして」



「えっ・・嘘、だって桜佑は

お見合いして結婚したのでしょう?」



「いいえ‼ 結婚話は消えて

しまいました。」



「か、加納家は、跡継ぎは?」


「はい、株主総会で多分桜哉様に

なると思われます。」



「え” そんな‼」



「桜祐は?何の病気なんです

病名は?」



「重度の鬱病です。」


「嘘でしょう?

あんなに傲慢で俺様気質の

桜祐が鬱病?」



「はい」


「如何でしょう。

一度、お見舞いして頂けませんか?」



「そんな事したら

お爺様が・・・」


「大丈夫です。

会長も悠里様を探して

いらっしゃいます。

お詫びを申し上げたいと

それに奥様雪乃様もお体を

壊されて都内の病院に入院されて

居られ、悠里様に会いたいと、

常々仰られておられます。」



「え、お祖母様が入院?」



「あの日田中と、私で小澤社長の

所へお迎えにまいりましたら

悠里様は出ていかれた後で

小澤社長も途方に暮れておられました。

桜祐様に伝えたら


それから急に

半狂乱になられまして

私達も頭を痛めておりました。

それ以来ずっと、狂っておいでです。」

真壁は泣きながら話し出す。



「く、狂っ・・・分かりました。

私で力になれるとは

思いませんが出来る事は

やってみます。」



「わ、私がウッウッもっと

会長に、意見して申し上げて居たら

・・・こんな、こんな事には

ならなかったかもしれません。」


真壁さんはその場で泣き崩れ

ペタンと、座り込んだ!



「真壁さん。」



「もう泣いても遅い

私はずっと桜祐様を見てきた

育ててくれた会長に背けず

毎日苦しまれていた。」


田中さんもメガネを外し

泪をふいていた。



悠里は田中秘書に連れられ

精神科の病棟へとついて行く!




コンコン


「社長、何か飲まれますか?

珈琲をお持ちしましたが・・・」



ベッドの上でパジャマ姿の

桜祐は田中の後ろにいる悠里に

気づかず


「要らない!」

そうつぶやいた。



「あのう、今日は悠里様が

いらっしゃっておりますよ。」



「悠里?誰!」

桜祐は顔を上げて回りを見る。

すかさず悠里が前に出て


「あっ、あのう家政婦です。

朝と夕方、御世話をさせて

いただきます。」



元許婚とはいえ

お腹いっぱい食べさせてくれたのも

桜祐だ。


寝る場所も弁当も食べれない時

毎日食べさせてもらった。


修学旅行のお金だって出してくれた

私が桜祐を元の桜祐に戻して

あげたい。


悠里はそんな使命感を感じていた。

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