第30話、赤い糸は別れへと靡く

ふぅ”━━━━っ‼

アイツに出会ってから

最悪な人生が

超最悪になった。


もうあの頃の16歳じゃ無い‼

泣き喚く小娘じゃない。

関わりたく無い

ドッカ行きたいなぁ


桜祐は仕方なく両親の待つ

車に乗った。


桜祐が部屋を出た時点で

悠里は又捨てられた。


見合い中も桜祐は上の空

早く帰りたかった。


「わたくし、仕事があるので

失礼します。」



「桜祐、桜祐、まて桜祐」


引き止める面々を振り切り

桜祐は急いでマンションへと

トンボ帰り。


しかし部屋の中には悠里の姿は

消えていた。




バス停にキャリーバックひとつ

握り立つ悠里の姿があつた。


フアンフアンフアン━━━‼

クラクションの音に振り返れば

黒塗りのピカピカな車が

あった。



「桜子、どこ行くんだ‼」

ビーっと開く窓から顔を出したのは

小澤史郎だった。


ビジネスカットの彼は

ニッコリと笑い

「飯、行かない?」

そういった。


捨てられた猫のニャンニャン

言う声を聞きつけた拾い主のような

温かさを感じた。


しかし

「大丈夫ですよ。

甘えてたら又捨てられ・・るポロ」

(´⚲_⚲`)


「桜子、どぉした!」

バタン

小澤史郎が車を降りた時バスが来た。


「小澤社長、お元気で

お世話になりました。」

悠里は、小澤に頭を下げ来たバスに

飛び乗り窓からバイバーイと手を

振った。



「桜子待て待て‼次で降りろー」

小澤は、叫びながら後を追ったが

悠里には聞こえない。


小澤は、秘書の止めるのも聞かず

バスを追った。


「社長、会議に間に合いません。

どうするんです。」



「うるさい‼

それどころじゃねーよ、

運転代われ

桜子が泣いとんじゃ」


「しかし

会議が」


「そんな事どうにかするのが

秘書の腕の見せ所じゃないか?」



「そんな・・・」



小澤史郎は、とうとうバスの

終点まで悠里について行った。



ハアハアハアハア

悠里をバス停で迎えてくれたのは

小澤史郎だった。


「社長(⊙⊙)!!・・・どうして?」

悠里は目を見張った。

必死の形相の小澤史郎がバスの

過ぎ去った場所に現れたのだ。


「桜子が泣いてるんだ

放って置けないだろ‼」


「え、でもお仕事は?」



「桜子、行くぞ!」


「えっ‼ 何処へ?」


「桜祐の所へ返すんだ

奴は、探してるぞきっと

何があったか知らないけど

桜子は、桜祐がすきなんだろう。」




「えっ好き?」


「違うのか?」


生まれてからずっと桜祐の嫁に

なると決められて育って来た。


「好きだったんだろうか?」

今更ながら悠里は、かんがえる。

今まで生きるために生きてきた。


「分かりません。」



「えっ‼ 嘘だろ!」


「桜祐は、今日南冬HOTELで

良家のお嬢様とお見合いをして

います。

加納のお爺様に大反対されて


桜祐も、お爺様の言いつけを

守ってお爺様のお気に入りの

お嬢様と結婚すると思います。

そんな人の所へは

帰りたくない。

今は憎い‼」



「・・・・・憎い?」



「うん。」



「じ、じゃあ、俺と俺と生きて

行かないか?

桜子、俺の気持ちは、もう

わかってるだろう。」



悠里(桜子)は頷いた。



「小澤社長・・・

ありがとうございます。

でも

桜祐とお友達でしょう。


勿論、尊敬は、しています。

でも、桜祐が駄目だったから

運良く現れた小澤社長に乗り換える

なんて小澤社長だって

調子いいっておもいませんか?」




「それなら、桜祐の所を

逃げ出した、桜子を運良く捕まえ

て、自分のモノにしたい俺も

調子いいんだよ。」



「・・・・」


「俺の気持ちは分かってるって

言ってくれたろう。」



「・・・・」



「行く所がないなら

俺の所にこないか?

しばらくの間でもいいゾ

店は辞めたんだってな!」



「でも、私は紹介する家族も

いません。

天涯孤独なんです。

生まれた日からずっと、ずっと1人

どこの誰かも分からない

そんな私を小澤社長のご両親が

受け入れてはくれませんよ。」



「気にするな!」



フッ

「俺は、昔喧嘩ばかりしてて

少年院暮らしだった。」



「え?社長が?」

悠里はパチクリと目を膨らませた。


「うん。」



「金があって、親は家に居なく

海外とか出張で2人とも

殆どいなかった。


犬に餌をやるようにドデカい

リビングで1人飯を食うんだ

そんな生活が惨めで

寂しさに紛れてヤバい奴らと

つるんで喧嘩三昧‼


夜は街をかっ飛ばして

夜宴の史郎とまであだ名が

付くくらい。」



「そうなんですか

知らなかった。」




「幻滅したか?」



「ううん、なんか近くに感じて

来ました。」


「それである日たむろしてた

ヤンキーに喧嘩売られ

向こうはナイフ振り乱して来たから

殺られる前にヤッちまった。」



「え?亡くなったの?」


「(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…

まさか、相手の持ってたナイフが

相手の指を切っただけだ‼

ボコボコにしてやった 。


ソイツと仲良く少年院

ほら、俺の秘書だよ、

アイツ👉。」



車の助手席に座っている

彼を指さした。


彼はペコリと頭を下げた。


「え、見えない‼」

悠里もペコリと頭をさげる。


「誰も傷はあるさ、桜子だけじゃ

ない。一見ボンボン育ちに

見えるだろ!俺の事

怖くなった?」



「いいえ、私の育った環境より

ずっと自由で・・・

羨ましい。」



「なら、俺の所に来い。

何もしない約束する。」


「でも、私甘えていいんですか?」



「おう、任せろ‼」



「あ、ありがとうございます。

なるべく早く仕事を見つけて

でていきます。」



男らしくて、頼りがいのある

小澤社長‼

ほんとに甘えていいんだろうか?

そう言えばプロの女の子が好みで

ど━━━のこ━━━━の

言ってたし

桜祐しか知らない私は

経験も無いしテクも知らない。

規格外かもしれない

彼の望む女じゃ無いし大丈夫か‼。

私はプロじゃ無い‼


悠里の脳みそはフル回転そんな中

小澤は秘書に駆け寄り何やら

ボソボソ


(・・)??


「行こう、桜子」


「何処へ?」


「飯‼」


「し、社長、会議を中断してますし

一度会社にかえりましょう。」


秘書さんがバタンと車を降り

駆け出して止めにきた。



「ん~

受付の由利香!に惚れてんだろ

俺に任せろ‼」

の一言で


「行ってらっしゃいませ!」

彼は損得勘定で動く人かも

しれない。



「何たべたい?」



「ん、何でもいいですよ!」


「若い子ならイタリアンか?」


「ん~じゃあ遠慮なく言えばねぇ~

塩サバ定食‼」


「ん、塩サバ?桜子のイメージ

と違うな!」


「じゃあ、ラーメン?」


「ラーメン?」


「あ、釜飯定食もイイなぁ

迷ってしまうw」




小澤社長に連れられて来た先は

桜祐のマンションにも劣らぬ

街中のタワマンだった。


柔らかなブラウンカラーの建物で

ツツジや植木が並び良く手入れ

されていた。


桜祐のマンションはシルバーカラー

で人を寄せ付けない雰囲気があり

最初入った時は随分緊張していた。

悠里は、許婚の相手が小澤だったら

悠里の人生は変わっていたかも

しれないなとフッと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る