第27話 悠里の月極青空マンション

桜祐と悠里は、恋人繋ぎをしながら

歩いた。


「そろそろ帰らないと」

悠里がぽっんとつぶやいた。


「何処へ?」

桜祐は、意地悪な疑問を投げかける、


「(•́ε•̀;ก)えっとぉ駐車場に・・・」


「悠里、マンションどこ?」

桜祐は、悠里が青空駐車場の

住人である事を知りながら

聞いている。



「え、ええっとぉ━━━━💦

桜祐には教えない!」


「じゃじゃあね車👉アッチだから」


「ああ、じゃあ俺も送ってくれ

話もあるし!」



「ええっとぉ、車小さいし

桜祐みたいなデカイ人乗せられ

無いよ。

荷物もいっぱいだし!」



「大丈夫、大丈夫‼

乗る乗る‼

俺、後部座席でいいし」


「ええっとぉ!

それはこまるし」


「ん?ど━━━━した行くぞ‼」


「ええっとぉ━‼」


「ほらほらー早く行くぞ

悠里のマンション‼」


ええ💦えーつ💦


悠里は、凄く困った。

自分のマンションは、白い軽自動車

って言えない。


同情されるかバカにされるか

ヒフテイヒフテイ



「ゲゲゲ━━━━コレまさかのコレ

え━━━━風呂は、飯は?

まさかどっかの河川敷に

ダンボールのテーブルとか

あったりして━━━━ひゃひゃひゃ

ウケるw」


と か笑うに違いない

それに多分こうも言うだろう。


「悠里、可哀想に魚とか釣ったり

してたのか?


洗濯は川ですませたのか?

桃とか流れて来なかったか?」

ヒヤヒヤヒヤヒヤ



「どうする‼」

考えながら

悠里は、黙ったまま駐車場へと

桜祐と歩く。


『バカにされたら・・・

わかれてやる。

アレ?別れてるし?ムムムム

この状況は、なんというのか?』

悠里は、拳に力をこめる。

しかし無情にも駐車場は、近づいて

来る。


悠里は、得体の知れない汗が

流れてくる。

もう・・・ダメだ。

走って逃げても瞬速の足の持ち主

勝てない、直ぐ捕まる。


はぁ━━━━っ

悠里は、深いため息を吐きながら

諦めた。



ピタリ‼🐾


「桜祐、あのねマンションは、

無いの、借金返さないと

いけないじゃない。

だから・・・

家賃も、もったいなくて

返済にまわしたし

住むトコなんて贅沢な物ないんだ

よね。


白の軽自動車がウチなの‼

軽自動車の中で生活してるの

だから桜祐は、のれないよ。

タクシーで帰って

秘書さんは帰ったの?

ちなみに川で洗濯なんかしてないよ

コインランドリーがあるし」


桜佑にバカにされる前に先手を打つ



桜祐は、白み始めた空を見上げて

「借金は、悠里の両親が

返した。」



桜祐は、通帳をだしてコレ悠里の

金だから返す。


桜祐は通帳と、カード印鑑を手渡した。


暗証番号は、1207


「12月7日、桜祐の誕生日?

どおして?」




「うん、会えたら返そうと

思っていた。

悠里から金を取るつもりは、

はなからない‼」


「桜祐・・・」


「裏切られたと思ったらカッと

なって、悠里を追い出したけど

直ぐ後悔して探した

今もずっと後悔してる。


もう離したく無い。」


つないだ手の1本1本に力を込めて

ギュッと握る。



「でも、お爺様が‼」


「俺が守る。

悠里を守る、一生そばに居てくれ。」



「でも、お爺様に

逆らいたくないし、嫌われてるし!

あなたも逆らいたく無いでしょう

大事な跡取りの桜祐が逆らえる

もんじゃないわよ。」




ププ━━ッッ!!!

「悠里、江戸時代かよ‼

わらわせてくれるじゃん。


爺さんの世話にならなくても

食べて行けるさ!

会社だって、爺さんの会社だけじゃな

く俺が学生時代立ち上げた

会社だってある。」



「そ.うなんだろうケド・・モ」



「ん、まいいか

悠里ちゃんと食べていたか?」


「うん、今レストランでバイトして

てお昼の賄いあるし

夜はお客さんがいっぱいオーダー

してくれるし食べてるよ。

夜の方が豪華だし、安心してよ。」



「食べれてるのは分かったが

お客って男だろ、ビミョー」


助手席は、桜祐にはギュウギュウ

だったが仕方ない、

ボロイ白い軽自動車に乗り込み2人が

向かったのは桜祐のマンション

だった。




「じゃあ、ここでいい?

桜祐帰るね!

ありがとう。」


「待て、悠里、俺のマンションで

一緒に暮らさないか!」



「桜祐、ありがとう。

でもやめとく笑

桜祐からもらったお金で

部屋を借りるよ。


それに3億円の借金も無くなったし

やっと生活らしい生活が

できるもん。」



桜祐は、軽自動車の窓にすがり

項垂れた。


「悠里、俺をどれだけイジメたら

気が済むんだ?


俺はライオンだ

謝らないのが謝っているんだぞ


しかも俺は悠里が好きで

悠里も俺が好きなんだろう。」



悠里は、ウンウンと頷いた。


「じゃあ何の問題があるんだ?」

頷く悠里の顔をみつめながら・・

桜祐は、ウットリ


。oO悠里は、色っぽくなった

綺麗だ、伏し目がちに見る顔も

見上げて来る顔も

色気がある。

そんな思いが頭を過ぎる。


「悠里、コイ」


無理やり運転席から悠里を引きずり

出し「え、え、え━━━ちょっと💦」

とバタバタする悠里をお姫様抱っこ

強行突破



久しぶりに入った桜祐部屋の

マンションのリビングには

相変わらずデカイ、ライオンが

睨みを効かせていた。



付き合っていたけどあんまりこの

マンションには来なかった。


女の子の出入りが激しかったから


桜祐は、シャワーを浴びに行った

正直ここは居心地わるい。

嫌な思い出ばかりがある。


”トントン”

悠里は、浴室の桜祐に


「帰るからー」

と声をかけた。


外に出て向かいのマンションを

見るが悠里と桜祐の同棲した

マンションは、無くなっていた。


きっとお爺様が取り壊したのだろう。

悠里の帰る場所が無いように?

それとも悠里の居た痕跡を桜祐から

消したかったのだろうか‼


車中泊に慣れたせいか車の

方が熟睡出来そうだ。

悠里は、青空駐車場までの距離を

急ぐ!

ネムイ



青空駐車場で目が覚めると

桜祐から鬼電が入っていた。


「え、ちゃんと帰るって

言って来たのにな‼何」




「ふあぁ ネムイ 桜祐なにィ~ 」

(´-ωก`)コシコシコシ


「おま、何帰ってんだよ。」



「だってぇー桜祐の部屋

女の子の出入り激しいし

気持ち悪いし」



「は?気持ち悪い?」


「うん。

で、やっぱり桜祐とは無理かな~

違う人と、幸せになりなよ。」



「俺をうらぎるのか?」



「違うよ━━━

裏切るってなに?


付き合っても無いし・・」



「俺を好きって言ったろ‼」


「桜祐は、多分一生好きだと思う。

でも、お爺様が反対するし

そのエネルギーには

勝てないし、お爺さまにも

幸せになって貰いたい。」



「俺は、俺の幸せは、どうなる。」


「私がずっと桜祐を愛していく

今までどおりだよ。

変わらない!

ライオンは、ハーレムを好む

もんだよ。」



「桜祐は、気に入った女性と

結婚して、家庭を持って幸せに

なってほしい。」



「私は桜祐の嫁になるように

育てられたし

今更他の男の人なんて

むりだよ。

怖いし ・・・」




「そうか・・・分かった。」



「うん。」






桜祐は、毎日元気が無い‼


『どうしたのだろう?

悠里さんと上手くいかなかった

んだろうか?』


第一秘書の田中は何時も何か

考えている桜祐を心配していた。



「珈琲をどうぞ」

スタ🍀の珈琲を差し出しながら

田中は、手を顎に乗せて考え込む

桜祐に声をかけた。



「あの駐車場買い取るか?」

桜祐は、突拍子の無いことを

言い出した。


「は?何を突然‼」


「悠里が俺を避けるんだ‼

小澤が又手を出してくるかもしれん」



「ん━━━ですが

悠里さんの契約されてる駐車場は

我が社には何もメリットがありません。」



「田中の頭脳でも無理か‼」


「と言われましても、ねぇ‼」

桜祐の悩みが即田中の悩みに

なる。


「ちょっと出かけても

宜しいでしょうか?」


「ああ。」


田中は、礼儀正しく社長室をでた。

入れ替わるように会長の秘書

真壁がやって来た。


「今度はなんだ真壁

見合いならしないぞ‼」



「もう桜祐様も32です。

皆様ご心配されていますよ。」



「ふうん、ジーさんか?」


「はい。」


「却下」


「今度は23歳で

凄くお綺麗なお嬢様ですよ。

躾も行き届いて、お爺様も

凄く気に入っておられます。」



「じゃあ爺さんに

アンタが結婚しろ‼と

伝えてくれ‼」



「ふう

会長の気持ちもご理解下さい。」


「結婚は、会長の気持ちじゃない

俺の気持ちダロ

結婚するのは会長か?

真壁は、どうなんだ?

結婚相手連れてきたら結婚するのか?」


「桜祐様は、特別で

ございます。

私とは立場がちがいます。」



「ハイハイ、跡取りなら

まだいるじゃん桜哉とか・・・

親父も跡取りより母を選んで

母方の婿養子に入ったろう

だから俺も悠里を選ぶ

爺さんにそう言っといてくれ。」



「困りましたね。

お見合いは、決定です

今度は、お母様のご紹介です。

奥様の顔に泥をぬられませぬよう

添えてお願いいたします。」



「・・・母さんの?」



「はい。」


桜祐は、椅子にドッカリと

座ったまま椅子を回しながら

考え込んでいた。




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