コンビニの訪問者 3
その日の夜、私はとりあえずネットでこの辺りで、また祠が壊されたりしていないか調べてみたけど、手掛かりは無し……
“豆狸(まめだ)”達の方も、今回は知らないそう。
ただ気になる事があるので、調べてみると言っていた。
こういうのの情報はやっぱり、薫ちゃんの方が早いかもしれない。
今日はもう遅いし、明日相談してみよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日教室で昨日、倉本先輩達に聞いた話を薫ちゃんに相談してみた。
すると薫ちゃんはさっそく、スマホで祠や塚が壊された事件がないか調べてくれた。
どうやらそういうの専門のサイトがあるらしい。
「幽霊なら対処出来るけど、もし神様とかだったら“寛現寺(ウチ)”じゃあちょっと難しいかもね……
で最近っていつ頃の事?」
「たぶん3月の上旬かな?」
「3月で上がってるのは、【車輪塚】って言うのがあるだけよ。いつの間にか直してあったみたいだけど…… 」
【車輪塚】っていうのは、【輪入道】と【片輪車】を封印している場所の事だから違う。
というか、アレ【祠】じゃなくて【塚】だったんだね。
「それじゃないと思う。」
「う~ん。じゃあ、壊されたのはその頃で見つかったのは最近とか?壊されたのに、まだ気付かれてない可能性はない?」
「それはあり得るかも。」
けっこう忘れられてる祠や塚も多いっていうし……
「坂野君は、何か知らないかな?」
「坂野君なら職員室よ。何か呼び出しされてたわ。」
「呼び出し?最近はずっと大人しくしてるのに…… 」
「松中の時は、“悪(ワル)”で有名だったからじゃない?と、帰って来たわよ。」
入り口を見ると、坂野君はかなり不機嫌そうな表情で私達の方に来た……
「どうしたのよ?呼び出しって何だった訳?」
「それがよ~。何か直ぐ近くで【スクモ塚】って昔の斎場の跡が荒らされたんだと!それが俺の所為じゃないかって疑われてさ!ひでぇだろ?」
ん?【スクモ塚】???
「「それよ(だわ)!」」
「へ?」
キーンコーン カーンコーン
坂野君に詳しい話を聞こうとしたら、予鈴が鳴ってしまい、仕方なく話は次の休憩時間に持ち越しになってしまった。
「この近くで【スクモ塚】という昔の斎場跡が荒らされ、中にあった銅鏡等が壊されるという事がありました。心当たりのある者は名乗り出るように。」
そういいながら、担任の佐藤先生が坂野君の方をチラチラ見ている。
アレって絶対、坂野君を疑ってるよね?
元不良だったからって酷くない?
Sホームルームの後、坂野君からその【スクモ塚】の件について、いろいろ教えてもらった。
「【スクモ塚】っていうのは、学校の敷地の端にある大昔の神様を“祀(まつ)”っていたって云われてる遺跡だそうだ。そんな所にそんなもんがあるのも知らないのに、なんで俺が疑わられなきゃいけないんだよ!?」
「そうよね~。酷いわよ。」
「中学の時、荒れてたから仕方ないけど、決めつける事ないじゃないか!」
「大人ってそういうとこあるから…… 」
そんな事を話してる間にまた休憩時間が終わってしまい、話し合いはまた次の休憩時間に持ち越されてしまった。
そして、次の休憩時間……
私達は肝心な事を知らない事に気づいた。
「ところで【スクモ塚】の《スクモ》って何?」
「なんだろ?」
「私も知らないわよ?」
《スクモ》ってなんか変わった名前よね?
私達がそんな話をしていたら、隣りの席に居た西森さんがあっさり答えを教えてくれた。
「【スクモ塚】の《スクモ》って糘(すくも)の事じゃない?」
「「「だからその《スクモ》って何なの(なんだ)?」」」
私達の勢いにちょっと引き気味になりながら、西森さんが《スクモ》について説明してくれた。
「《スクモ》って言うのはこういう字を書くのよ。」
西森さんがスマホで見せてくれた漢字は、《米》に《家》と書いて《糘》。
「コレで《“糘(すくも)”》って読むのよ。わかりやすく言うと《“籾殻(もみがら)”》の事。皆んな農家の人じゃないから知らなかったみたいね。」
西森さんのおかげで、謎が一つ解けたわ!
「なるほど、そういう意味だったんだ。」
「知らなかったな…… 」
「勉強になるわぁ。西森さんありがとう!霊現象で困った事があったら、寛現寺(ウチ)に来てね!マケとくから!」
「え、遠慮しときま~す…… 」
西森さんは薫ちゃんの勢いに再びドン引きして、自分の席に戻って行った。
その後、直ぐに予鈴が鳴ったので、話合いはまた中断する事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます