釣り大会~サメ編~

 「ただいまから、り大会を始めるのじゃ!」

シャインビーチに集められたヒビキたちは、カメじいの説明を聞く。

「今回のテーマは、サメなのじゃ!制限時間内にどれだけ釣ったのかを競うのじゃ!」

こうして、釣り大会が始まった。

「海にいる背びれがついた大きい魚影ぎょえいがサメなのじゃ!」

サクラとラビカは、

「えいっ!」

「これは、シュモクザメね!」

「シュモクザメは、頭部が左右に張り出してその先端に目と鼻孔びこうがあり、かねかねを打ち鳴らす丁字形の撞木しゅもくのような頭の形をしていることから撞木しゅもくさめ、英語では頭を金槌かなづちに見立ててHammerhead sharkと呼ばれている。この横に張り出た部分にはロレンチーニびんと呼ばれる微弱びじゃくな電気を感知する器官があり、シュモクザメは他種のサメに比べて非常に発達したロレンチーニ器官を持っている。また捕食ほしょく特徴的とくちょうてきな頭部で海底付近のエイをり出したり、獲物えものに頭部を打ち付け押さえ込む格好にして捕食したりする。しかしシュモクザメの目ははなれすぎているため真正面は死角になってしまっている。アカシュモクザメなどの特に頭部が左右に長い種では、四十度に及ぶ広い立体視角を持つ。その代償だいしょうとして頭部正面に広い死角ができるが、頭部を左右に振ることでこれをおぎなっていると考えられる。サメとしてはめずらしく群れを成して行動する。その数は時には数百匹の単位に及ぶことがある。単性たんせい生殖せいしょくで出産したシュモクザメがいる事が確認された」

と、シュモクザメを釣った。

「海沿いを歩き、根気良く釣るのじゃ!」

カメじいからのアドバイスを聞いたヒビキは、

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「大きいジンベイザメだ!」

「ジンベイザメは、サメや軟骨なんこつ魚類ぎょるいとしてのみならず、すべての魚類の中で現生最大の種で、鯨類げいるい以外いがいでの最大の生物である。世界中の熱帯・亜熱帯あねったい・温帯の表層海域に広く分布する。動きは緩慢かんまんであり、基本的には人にとって危険性の低いサメである。最大全長二十メートルである。現在、個体記録の信頼に足る最大値は、二〇〇一年にアラビア海で座礁ざしょうした体長約十八メートルのめすである。以前にセイシェル諸島しょとうやインドのマハーラーシュトラ州にて二十一メートルのものが報告されたが、これは正確な計測による数値ではない。体重は二十トンである。体形は紡錘形ぼうすいけいである。体の幅は頭部で最も大きく、通常一メートル程度である。扁平へんぺいな形の頭部を持ち、その正面の両端に小さな眼がある。横幅よこはばが最大で一メートルほどにもなる大きな口の中には、細かなが三百二十五本、列をなしている。五十対の鰓裂えられつむなびれ原基げんきの上前方にある。体色は、腹部は白に近い灰色で、それ以外の全ての部分は色合いがく灰青色である。頭部・胸鰭・尾鰭おひれには淡黄色の斑点はんてんを、胴部には白い格子の中にたん黄色こうしょくの斑点が配された独特の模様を持っており、西欧ではチェスばんの模様にたとえられる。さらにこの模様には、個体ごとに個性が見られ、観察するにあたっての個体識別にも大いに役立つ。皮膚ひふ組織そしき分厚ぶあつく、その厚みは最大値でおよそ十センチメートルにもなる。成体の尾鰭は、普通は半ば三日月形、ときに三日月形であるが、若い個体のそれは下部が目立たず、上部だけが大きいという特徴を持つ。プランクトンのほか、小魚、海藻かいそうなどを摂食せっしょくする。海水と一緒にそれらの生物を口腔内こうこうないに吸い込み、吸い込んだ水の中から微細びさいな生物だけをし取り食べるための櫛状くしじょうの器官である鰓耙さいはで濾し取り、鰓裂から水だけを排出はいしゅつし、残った生物をみ込むという摂食方法である。プランクトンは海面付近に多いため、ジンベイザメも海面近くでほとんどの時間をすごす。サンゴの産卵期さんらんきにはそのたまごを食す。海面付近にただよう餌を効率よく口内に吸い込むために、体を垂直すいちょくちかくにまでかたむける習性が見られる。このため、大きな個体を飼育する沖縄おきなわでは、ジンベイザメの成熟した個体がそのような姿勢をとるに十分な大水槽だいすいそうの水深を十メートルとしている。本種とイワシ等の小魚はともにプランクトンを主食としているため、両者は同じ海域にえさを求めることが多い。小魚やその小魚を餌とする中型の魚はカツオやマグロといった大型回遊魚の餌であるから、本種のいる海域には大型回遊魚の群れがいる可能性も高くなる。マグロはジンベイザメに常に付いてまわる訳ではない。動きは緩慢で、遊泳速度は平均時速四キロメートル、最大でも時速十三キロメートル程度である。性格はいたって温厚で、人が接近しても危険性は低い。非常に臆病おくびょうで、環境の変化に弱いため、飼育は難しいとされる。大阪や沖縄などで長期の飼育記録がある。繁殖はんしょくについてはあまり分かっていないものの、数年に一回の割合でしか出産しない繁殖力の低い動物である。かつては卵生であると信じられていたが、一九九五年に台湾で全長十メートル、体重十六トンの妊娠中にんしんちゅうのメスが捕獲され、約六十センチメートルに成長した生まれる直前の稚魚が三百七尾見つかり卵胎生であることが判明した。卵は長径三十センチメートル、短径九センチメートルに達するものもあり、メスの胎内で孵化した後、四十センチメートルから六十センチメートルに達した状態で出産される。約三十年で成熟し、六十年から七十年ほどを生きる。なかには百五十年を生きるとの説もある。濾過ろか摂食せっしょく動物どうぶつは生態ピラミッドの最低位にあるプランクトンを主食とする低次消費者のニッチである。しかし、動物史上では、この地位にこそ最大級の種が含まれていることが多い。濾過摂食性のニッチの占有者せんゆうしゃは生態系の中で常に存在していたはずであり、ときに最大級の種の存在が確かめられる。軟骨魚類としてはジンベエザメやウバザメ、オニイトマキエイなどがその好例であり、海生動物全体ではヒゲクジラ類が筆頭に挙げられる。また、過去の時代では中生代の一時期を生きた硬骨(こうこつ)魚類ぎょるいのリードシクティスが、シロナガスクジラにせまる史上最大級の動物である。最も生物総量にすぐれた最小の消費者を優先的に大量に摂ることは生物的強者でなければゆるされない特権とも言える。彼らは低次消費者ではあるが、その意味で勝利者である。このニッチの占有者は競合力の高さによってその地位を獲得していったと推測される」

ヒビキとチララは、ジンベイザメを釣り上げた。

 そして、

「タイムアップじゃ!」

ついに制限時間を迎えた。

「今回の優勝者は、四匹釣ったヒビキなのじゃ!」

「やったね!」

今回の釣り大会の優勝者は、ヒビキ。

「これを受け取るのじゃ!」

「おめでとう!」

ヒビキは、カメじいから金メダルを受け取ったのであった。

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