第62話 喫茶店でアルバイト!?

 ヒビキたちは、ハミングタウンの商店街にやってきた。

「こちらが、喫茶店きっさてんの『caféラムレ』だ」

「行ってみよう!」

中へ入ってみると、喫茶店のオーナーである灰色のウサギのラムレがいた。

「いらっしゃいませ!caféラムレへようこそ!」

ヒビキとチララは、早速注文する。

「では、ご注文の方をお願いします」

「コーヒーとオレンジジュースを一つずつ」

「コーヒーはどんな感じにしますか?」

「コーヒーの種類はモカ、ミルクはそこそこ、角砂糖かくざとうは一つだけ入れてください」

「モカは、紅海こうかい対岸たいがんのエチオピアは、コーヒー発祥はっしょうの地とされ、アラブの商人たちによって十四世紀末、コーヒーの苗木なえぎがアラビア半島のイエメンにもたらされた。一六一五年にベネチア商人によって初めてコーヒーがモカ港よりヨーロッパに向けて出荷され、その後、エチオピアとイエメンのコーヒー豆はモカ港より船積みされることになった。十六世紀当時は、エチオピア、イエメン以外に大きなコーヒーの生産地域はなかったため、コーヒーを船積みするモカはコーヒーの代名詞でもあった。この名残なごりが現在まで残り、エチオピア産、イエメン産コーヒーのことをモカと呼ぶ風習が二十一世紀となった現代においても生きている。二〇〇八年五月日本で、エチオピア産コーヒー生豆から基準値を超える農薬のうやく成分せいぶんが検出された事から輸入が規制され、日本国内では非常に手に入りにくくなった。イエメン産のコーヒー豆は特にモカ・マタリともいい、イエメン北西部の高地産である。さわやかなかおりと強い酸味さんみのある味わいが特徴とくちょうで、かつてコーヒールンバにうたわれていたためか、日本でも人気が高い。No.9というのが、欠点豆の混入が比較的ひかくてきすくない等級であるが、ブラジルのNo.2抔と比べると数倍から十倍ほどの欠点豆があり、焙煎ばいせんに際しては、入念なハンドピックが必要である。エチオピア産は、シダモ、ハラー、ディマ、レケンプティなど、収穫しゅうかく地名ちめいをつけて販売はんばいされることが多い。焙煎・抽出後ちゅうしゅつごのコーヒーは苦みが少ない代わりに酸味が非常に強く、フルーティーな香りがある。モカコーヒーは、フルーティーな香りと強い酸味が特長で、高価なイエメン産、廉価れんかであるエチオピア産、と長らく位置付けてきた。二〇〇〇年代に入り、スペシャルティコーヒーの需要じゅようが高まるにつれて、コーヒーチェリーをそのまま天日でかわかすナチュラル製法が生産の中心だったエチオピアコーヒー生産の現場に、中南米で広く行われている水洗処理式すいせんしょりしきを取り入れる生産者があらわれるようになった。これにより、イルガチェフェやシダモなどで、花の香水こうすいのような印象的な香りと、オレンジのような明快な風味と酸をもった高品質エチオピアコーヒーが生産されるようになり、それらは高値で扱われるようになり、エチオピアのコーヒーブランドを大きく高めた。二〇二〇年よりエチオピアはスペシャルティコーヒーの国際品評会カップ・オブ・エクセレンス開催国となり、今後の発展が期待される。また、発酵はっこうした味が出やすかったナチュラル製法も技術の進歩に伴い、完熟かんじゅくフルーツのようなあまく個性的な香りのスペシャルティコーヒーを生産することができるようになった。モカコーヒーは個性的な香りと印象的な酸味から、ブレンドコーヒーの配合にも多く使用される。モカからスタートしたコーヒーは、その後、インドを経由し、十六世紀にインドネシアのジャワ島にもたらされた。ジャバがモカに続く二つ目のコーヒー生産地域となった歴史をまえ、欧米おうべいのコーヒーショップでは、ブレンドコーヒーのひとつの型として、モカとジャバを配合したモカ・ジャバを扱うことが多い。モカ・ジャバは世界で最も歴史が古いブレンドといううたい文句で扱われることも少なくない。ちなみに今でこそ、ジャバはロブスタ種の有数の産地だが、ジャバにロブスタが入ってきたのは一九〇〇年のことで、十六世紀当時に生まれたとされるモカ・ジャバはアラビカ種同士で作られたものである」

「かしこまりました」

ラムレが注文したものを用意すると、

「お待たせいたしました。コーヒーとオレンジジュースでございます!」

「ありがとうございます!」

「では、ごゆっくりどうぞ」

ヒビキとチララのテーブルに持ってきた。

「すごくおいしい!」

「コーヒーの香りがする!」

これには、ヒビキとチララは満足したようだ。

 すると、ラムレはヒビキたちにあるお願いをする。

木漏こもれ日林道では、はちみつが取れるとお客さんから聞きました。そこであなたたちにお願いがあります。私の代わりにはちみつを取ってきてください」

「はい!」

「お安い御用ごようだ」

「ありがとうございます。でも、そこはスズメバチが生息していますので、気を付けてくださいね」

ヒビキたちは、ラムレからのお願いを引き受けた。

「ラムレさんのために、はちみつを取ってくるしかない」

「お手伝い、頑張がんばろう!」

「うん!」

こうして、ヒビキたちは木漏れ日林道ではちみつを取ってくることになった。

 一方その頃、アラシは木漏れ日林道にいた。

「忠告しておく。ここに助けを求めている者がいることを…」

アラシはこう言い残して、どこかへと去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る