第20話 いろんな結果が出たのです

「カクヨムコンは、予想通り読者選考で落ちたか」

「プレビュー未だ、一桁ですからね」

「そして「5分で読書」」

「はい。夢を見させてもらいました」

「こうやって賞を逃すと残念感がすごいものだな」

「最終選考に残って落ちるのと、中間に残らないのとどっちがキツイですかね」

「どっちが良い、と聞かないところが卑屈感を醸し出しているな。まあ、キツさでいったら、より落差があるほうがダメージは大きいのではないか?ボス戦で呆れるくらい瞬殺されれば笑うしかないだろう?」

「でも、あとわずかで勝てるかもって思ってしまったら……」

「世の中は、なんでもそうだな。期待した分だけ叶わなかった時の絶望が大きい。最初から「叶うはずがない」と最少の期待値でいるのが精神衛生上は無理がないのだろうさ」

「選ばれた人は、嬉しいでしょうね」

「そしてもう一度と願う。届かなかった者たちは今度こそと願う。ただ、私見だがな「叶うはずがない」と自分の作品を卑下する想いのままで、その高みに届くと思うかね?」

「結果論ですからね、それはなんとも……」

「少なくとも、自分にとって最高の作品だ!という自負があるなら、夢は何度でも見られると儂は思うのだが?」

「自負があっても、良い作品でも、賞に届くとは限らないですよね?」

「もちろん。それだって運の要素は無視できまいよ。でも、何度も言うが、物語を創り応募しなければ可能性は0。絶対に賞には届かない」

「今更ながら、とんだ修羅の道を歩いているものですね」

「温いな。この道を歩くだけなら死にはせん。もっとも、最低限、生きる手段を確保した上でだがな」

「ところで、書籍化した場合ってそれだけで食べていけるのですか?」

「う、む。何を食って生きるかにもよるのではないか?」

「言いづらそうですね。はっきり聞きましょう。書籍化によって得られる印税はどのくらいになるのですか?」

「ピンかねキリかね」

「ピンは天井知らずですよね?具体的に、カクヨムなどから書籍化される場合はどうなんですか?」

「あー、そうだな、※※万円くらいらしい。初版※※部で」

「……それは、まあ、そうですか……」

「なんだねその、宝くじの桁数を勘違いしてました的な微妙な表情は」

「いや、その収入だと生活する手段に成り得るのですか?」

「だから重版や、巻数を増やすことが大事なのだ。書籍化しても無料サイトで投稿を続ける理由は、新しい「購入してくれる」読者の確保なのだ」

「修羅の道どころか、賽の河原で延々と石を積み上げている気がしてきました」

「終わるまで終わらないのだよ。ただ寿命と違い、作家人生は簡単に終わらせることが可能だ。書くのをやめればいいのだからな」

「……どんなに素晴らしい物語が頭の中にあっても、ですね」

「書いて、公開し、誰かに認めてもらう。その愚直な繰り返しを続けるしかあるまいよ。でもな、その過程で賞や書籍化以外の宝を得ることもあるのだ。きみにももうわかるだろう?」

「たくさんの人と、たくさんの物語に出会えました」

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