④部屋の隅から。

雨が降ってる。

しとしとと、雨が降ってる。

けど、僕の部屋には雨粒が一粒も入ってこないんだ。


それは部屋の中にいるからだとか、

家の中にいるから当たり前だとか。


きっと、周りは言う。

家族も、

友人も、

親戚も、

僕のことを知っている人達はきっとそう言う。


その度に、僕の中には雨粒ではない、【何か】が降ってくるんだ。


それは、稲妻だったりとか、

金平糖だったりとか、

はたまた、石つぶてなんかだったりする。


僕はそれを、よいしょよいしょとかき集めて、

【自分部屋】っていう心の中にしまうんだ。


僕の部屋には雨が降らない。


家族も、

友人も、

親戚も、


僕の心の中に雨を降らすことは出来ない。


きっとそれは、

とてつもなく、寂しい物で、

けれど、完全に守られた世界で、


でも、僕は、

僕の心の中に雨が降れば良いと思ってる。


土砂降りで、横殴りの雨でも、

僕の心を動かしてくれる物、癒やしてくれる物。


そんな、雨を、ずっと待ってる。

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