今日もよく生きました。

つゆくさ。

① 【ここ】


ふわりと目を開けてみれば、そこには彼がいて、

私はそっと【ここ】が【ここ】だと認識する。


夢の中ではない。

途方に、そして限りある世界が目の前に広がっていて、

いつか【個】が【全】になるように溶けゆく世界で息をする。


朝、ご飯を用意する。

ウィンナーを焼く。

一本、二本、三本……と焼いていく。

その源は確かに動物であった。

しかし今は【食物】としての形が形成され、【個体】から【全体】へと変容する。


その肉の塊を、更に包丁で半分に切る。

両断されたソレはちぎれて、鉄の上で焼けた。


ソレを口に運べば、【全体】は私という【個】になる。


【ここ】はどこだろうか。

【わたし】は誰であろうか。


ふとその事柄に悩み、あなたの顔を見る。

するとあなたはふわりと笑って、「ん?」と首をかしげる。


何もない。

【ここ】には何もない。

ただただあるのは、

わたしが在るということ。 

世界が在るということ。


それが嬉しくて、泣きたくて、そっと私は

何も見ない振りをするのだ。

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