第15話 最後のバカンス ♯1

 実質、この夏がボクとアリスの最後の長いバカンスになるだろう。


 しんみりしても仕方がない。


 出来るだけ、たくさん愉しくて良い想い出を作ろう。



 アリスと一緒に。

 二人だけの想い出を……。

 



 だが光陰矢の如し。

 たのしい日々は、あッと言う間に過ぎ去っていく。




 夏休みも、もう明日でおしまいだ。



 明日、アリスはお祖母ちゃんの待つ千葉へ引っ越していく。

 



 ボクとアリスは過ぎ去っていく夏を名残り惜しむように、庭で花火をたのしんでいた。


「キャッキャァ……✨😜✨✨💕

 ルー✨✨💕 愉しいねえェ……❗」

 アリスは、花火🎇を持ってピョンピョンとね回った。



「わかったから花火を持って振り回すなよ……。ッたくゥ、危ないだろォ……!!」

 堪らず、ボクはクレームをつけた。


 はじめはアリスもキャッキャァッとが、花火が残り少なくなるとだんだん口数も減ってきた。



「さァ……、これで最後だ」

 この花火が終われば、それだけ別れの時が近づいていく。



 チャッカマンで火をつけると、パチパチと花火が散っていく。



「フフ……、キレイねえェ✨👄✨💕」

 いつになくアリスは落ち着いた言葉遣いだ。

 この夏休みの間に一段と美少女になった。


 

「あッああァ……、そうだねェ……」

 アリスの方がずっとキレイだけどね。


 兄貴なら簡単に口にするだろうが、ボクは恥ずかしくて言えるはずもないが。

 


 なぜか、今日はいつもよりもずっとキレイに見える。



 かすかに、鈴虫だろうか、秋の訪れを告げるように、『リィーリィーッ』と鳴き声が聞こえてきた。



 不意に、アリスがボクに声をかけてきた。

「ねえェ、祐真……🥺💦」

 大きな瞳が涙で潤んでいる。


「え……😳💦 な、なんだよ。

 急に改まって……」



「ありがとうねえェ……✨✨」


「えェ、なにを言ってンだよ。突然、礼なんか言って!!」







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