マタ、キミ二アウ ソノトキマデ

ろくろく んよちい

#1

青い空とやわらかな山の緑が

今年もまた夏の風をつれてきた


その風は

まるで誰かを恋しく想い焦がれるように

胸の鼓動のスピードをはやくする


思い当たる人物などいないはずなのに......

なぜ

こんなにも胸が高鳴っている気がするの?


心当たりを探って見ると

昔、片想いしていたアイツも

そうじゃない別の人とも

なんだかちがう


それは少し切ない物語や、

どこかの世界を旅する物語や、

甘酸っぱい恋物語を読んだ後のような気分



ふと、


空の雲ひとつに何かを思い浮かべて


道端の草花を観察してみたり


風の吹く方にふりむいてみたり


時折鳴く鳥のさえずりに耳を傾け



五感が研ぎ澄まされていく



小さなことに幸せをみつけ


それがちょっとずつ積み重なって


なんだか優しい気持ちになってゆく



なんでもないけど

ただなんとなく


今、幸せだなぁ って


ちょっと思ってみたりみなかったり

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