家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
第1話
「なっ?何だコレは!?」
俺はしつこく鳴る携帯のアラームを止め、もう少し寝ていたいが「今日も愛する家族の為に仕事を頑張らねば!」と何とか気合いを入れ、部屋のカーテンを開けたところだった。
そこに広がる風景が俺の知るそれとは大きく異なっていたのだ。
うちは都心から少し離れ、静かな郊外にある住宅地「夢咲タウン」の一画に建てられた築7年の夢のマイホームだ。
しかし…今、目の前には20軒以上ある筈の住宅地の姿は何処にもなく、テレビでしか見たことのないような巨大な滝が遥か崖の向こうに広がっていた。
「パパ?朝からそんなに騒いでどうしたの?」
この女性は俺の愛する妻の浩美(ひろみ)、今年で結婚10周年を迎える。たまに喧嘩くらいはするが、10年経っても相変わらずラブラブだ。
「ママ、ちょっと起きて外を見てみろ…」
浩美は起き上がり、言われた通り外を見て絶句した。
「えっ?…ここは何処?」
「分からない…俺たちは知らない間にナイアガラの滝にでも飛ばされたのか?」
俺の知識では、この規模の滝はナイアガラの滝くらいしか思い付かなかった。
「ナイアガラって…寝てる間にアメリカに家ごと来ちゃったってこと?そんな非常識なことはあり得ないでしょ?」
「確かに非常識だが、どう考えてもあれはうちの近所の風景ではないぞ!考えても答えは出ないだろうが、一度落ち着こう!
まず1番可能性が高いのはこれは夢であり、あの風景も現実ではないというもの。古典的ではあるが…ママ、ちょっと俺のホッペを叩いてみてくれないか?」
浩美は無言で頷き、「バチンッ!!!」と思いっきり平手打ちをかました。
「おいおい!それはさすがに強過ぎだろ?あいたたたっ!!」
俺は真っ赤に腫れ上がってそうなホッペを撫でながら苦情を述べたが、そこで気が付いた。
「私も手が痛かったわ。これは夢じゃないみたいね…私も確認したかったから強く叩き過ぎたわ!パパ、ごめんなさい。」
「いや、いい。それよりも夢でないならコレはどんな状況なんだ?
他に思いつくのは、家ごと違う場所へ飛ばされたくらいしかないんだよな…問題はここが日本かってことだよな?
…まさかとは思うが、俺の読む小説みたいに異世界に飛ばされてないだろうな?」
自己紹介が遅れたが、俺の名前は社 智也(やしろともや)、40歳だ。仕事は玩具メーカーで様々なおもちゃの設計・開発をしている。
趣味は色々とあるが、若い頃からあらゆる遊びを楽しんできた。釣り、スケボー、柔道にボクシング。大学生の頃には、乗馬、弓道、スキー、スノボー、パラグライダーを楽しんできた。社会人になって経済力を手に入れ、スキューバダイビングやサーフィンにも一時ハマっていた。
どの趣味にもいえることだが、それなりに出来るようになるまではどんなに努力が辛くとも逆に楽しかったのだが、それ以上を求め始めるようになってくると、途端に苦痛の方が強くなってしまい、足が遠のいてしまうのだ。
熱しやすく冷めやすいタイプなのかもしれない。
そんな俺にも若い頃からずっと好きで続いてる趣味が2つある。ロープレと呼ばれる冒険物のゲームをすることと、異世界に転移や転生をして活躍する主人公の物語を漫画やアニメ、それにラノベと呼ばれる小説を通して読むことだ。
様々な物語を読み、見て、想像し、若い頃から男なら1度は思ってしまう「俺もいつか異世界でチートで活躍しまくりてー!」っと夢見たことは数えきれない程だった。
だがそれは今ではない!家族を持って、仕事を持って、何一つ大きな不満もなく生活出来るようになった今ではないのだ…
「異世界って…パパがよく見てるアニメみたいな?」
「そうだ!今の状況を考えるとその可能性はどうしても捨てられないんだよな…正直リアルに異世界にいきなり飛ばされるなんてシャレにもなんないんだけどな…」
「それを確認する方法はないの?」
「うーん。。これが本当に俺の知るような異世界転移だとしたら…きっと「ステータス」と念じると自分の能力が見えるんじゃないか」
試しにやってみると、目の前には信じられないことに本当にゲームのようなステータスが表示されるではないか!
《ステータス》
[名前]
社 智也
[年齢]
40歳
[種族]
人族
[HP]
1000
[MP]
1000
[力]
2000
[物理耐性]
1500
[魔法耐性]
1500
[状態異常耐性]
1500
[器用さ]
2000
[素早さ]
1000
[魔力]
1000
[習得魔法]
なし
[習得スキル]
格闘レベル2
射撃レベル1
料理レベル1
[ユニークスキル]
玩具メーカーレベル1
玩具収納レベル1
[スキルポイント]
100ポイント
「うぉっ!本当に出ちまったよ!!ママも見れたかい?」
「うん!見れちゃったよ!!今も目の前に表示されてるけど、これってパパにも見えるの?」
「いや、他人には見れないようだね。俺にはママのステータスは見えてないよ。」
「私はゲームなんてしないから、見てもよく分からないから紙にそのままメモするね。
これが見れたってことは、ここは本当に異世界ってことなの?私怖い…」
俺は震える浩美を抱き締め言った。
「正直俺にもとても信じられないが、このステータスを見る限りは本当にここは異世界の可能性が高いようだ!俺にもここがどんな世界なのかが全く分からないから何とも言えないが…何があっても家族だけは俺が守る!
きっと守ってやるから心配するな!」
浩美は後ろから抱きしめる俺の手を握り締め言った…
「お願いね…頼りにしてるわ!」
.....
....
...
..
.
浩美のステータスを見てみるとこのような内容だった。
《ステータス》
[名前]
社 浩美
[年齢]
36歳
[種族]
人族
[HP]
900
[MP]
1200
[力]
900
[物理耐性]
1000
[魔法耐性]
2000
[状態異常耐性]
1500
[器用さ]
1000
[素早さ]
1500
[魔力]
2000
[習得魔法]
なし
[習得スキル]
料理レベル1
応急手当レベル3
[ユニークスキル]
ネットスーパーレベル1
食品収納レベル1
[スキルポイント]
100ポイント
「ステータスを見る限り、この世界には魔法が存在してるようだ!ママは俺よりも魔法を得意とするタイプのようだよ。」
「そうなの?習得魔法って欄がなしになってたから、この世界には魔法はあるけど私には使えないんだって思ってたわ!」
「いや!俺よりも魔力や魔法耐性が高いからね、きっと魔法使いタイプだよ!まだ魔法の習得方法は分かってないから色々と調べてみないとだけどね!」
「魔法が使えるようになるのなら嬉しいな!こう見えても小さい頃は、魔法使いになりたいって思ってたこともあったのよ!でも…何かと戦うのは正直怖いかな。」
「へー!現実主義者のママにもそんな時代があったんだな?」
「忘れたの?私は腐女子でもあるのよ?
仕事と子供のこと以外はそこまで現実主義者でもないわよ!」
「そういえばそうだった!初めてママの家に泊まりに行ったとき、そこら中に変わった漫画があったの思い出すよ。この家を建てる時にも、ママは本棚には拘ってたよね!懐かしいな。」
浩美は子供を産む前は、大きな国立病院で看護師をしていた。
趣味はBL漫画を読むこと。ボーイズラブ、つまり男性と男性が恋愛をしたり、エッチなことをしてる姿を描いた漫画である。
俺はその趣味を知ったとき、正直理解は出来なかった。しかし同時に面白いと思った!今まで付き合ってきた子たちよりも個性的でいいな!と思えたのだ。
それは正解だったようで、お互いの趣味を否定せずに認め合える2人は、結婚してもお互いの考え方の違いを否定せず、歩み寄って、全てのことに対してうちの家族の答えを出していけるいい関係を築けてると思う。
家族を守る為にも、この世界のこと、このステータスのこと、そしてスキルや成長させる方法は早々に見つけなければならない。
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