そらとぶぺんぎん

雨は強く窓を打つんだ


君は一人震えているだろう


氷柱のような雨の群れを


私は自転車で漕ぎ泳ぐ


雛鳥はただ待っている


私をぺんぎんだと信じて


飛ぶことも泳ぐことも出来ない大人を


奇跡のように信じている


私はあなたのそらとぶぺんぎん


ぺんぎんはとべないと知るまでは


あなたの隣で笑い続けよう


本当は不安で押し潰されそうなこと


仕事や人に疲れていること


実は料理が下手なこと


みんなみんな押し入れにしまおう


クリスマスの日のプレゼントのように


いつかおとなになったとき


プレゼントはないけれど


押し込めた気持ちをあなたにあげよう


私とあなたの同じ気持ちを


料理にして分け合おう


びみょうだね、といいながら


ふたりで静かに乾杯しよう


雛鳥はまだ待っている


まだまだ遠いけれど


着く前までには笑う準備をするから


もう少しだけ、待っていてね

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