二十四本目 地下鉄

 地下鉄で誰も座ろうとしない席があったんです。

そういう自分も不思議と座る気にはなれなくてただ眺めていました。

地下鉄の窓には外が暗いせいか車内の風景が映っているのですがそこでは席が埋まっていたのです。

思わず席を見るとやはり埋まってなくて、けれども窓には映っている。

ただ死人が出たという話は聞きませんし幽霊というわけではなさそうです。

生きている人の思念も強ければ幽霊と遜色ないのでしょう。

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