二本目 銀の腕時計

 私太陽電池の腕時計を持っていたんです。

シンプルな銀の時計で落ち着いた感じが結構気に入っていて何年も使っていました。

時が経つと多少輝きも鈍るのですがそれがかえって気品を感じられたんです。

 ある日昼間太陽の光を浴びせるために窓辺に置いたのを忘れて置きっぱなしにしてしまいました。

夜になって部屋でタバコをふかしているとチラッと視界の片隅で光が強く飛び込んできたんです。

私が目を向けると夜の闇から大きな手だけが時計に伸びて私があっと声を上げるまもなく、持っていってしまったのです。

私にはどうも光ったのが時計が助けを求めているようにしか思えなくてもう帰ってくることのない時計を思って嘆くことしかできませんでした。

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