Desperado~エピローグから始まる異世界放浪紀

ダメ人間共同体

第1話 エピローグ

並行世界。

世界は一つではない。

『世界』は無限に存在し無数に枝分かれをしている。


例えば君がこの物語を最後まで読んだ世界。

途中で読むのを止めた世界。


この物語を面白いと思う世界。

いやいや、つまらないよ!と思う世界。


ポチっと応援ボタンを押す世界。

押さない世界。


人の数だけ、その行動の数だけ世界は枝分かれしてゆく。

時間の流れが速い世界、時間の流れが遅い世界。

が、時間だけは戻る事はない。

過去にだけは戻ることは出来ない。



この物語は並行世界を自由に行き来し、願いを叶えた男の話である。





「フーーー!! これで終わりだ。

 ようやく最後の欠片を手に入れることが出来たぜ!!!!!」


男は最後の一つを手に入れつぶやいた。

それはどこまでも白く透き通った拳大のビー玉のようにしか見えなかった。

袖の中から他の『欠片』と呼ばれる107個の大きなビー玉は、どれ一つとっても同じ色をしていなかった。

青や赤でも微妙に色が異なっていた。

他にも明らかにビー玉やガラスの塊と分かるものも取り出した。

一つ一つに思い出があるはずなのだが、すべては遙か遠い昔の話。

覚えているのは直近で集めて20個ぐらいだろうか?


多くの出会いが有り多くの別れがあった。

が、どのような出会いをし、どのような別れをしたのか・・・・・もう覚えていない。

自分の名前さえ忘れてしまうほどの時が過ぎて行った。


時の流れとは残酷だ。

愛する者も美しい思いでも・・・・・

いや、憎しみや怒りさえも・・・・・

時の流れはすべてを洗い流してゆく。

それは幸なのか不幸なのか判らない。

男が歩んできたのは『永遠』と言う名の地獄であった。

はっきり言える事は手に入れたモノはすべて失う宿命。

奪われるための人生であった。


「さぁ~これで、みんなの下へ行ける」


投げ出したビー玉やガラスの塊の前に胡坐をかきに座った。


「欠片よ! 俺の願いを叶えてくれ! 『永遠』と言う名の地獄から救ってくれ」


静かに目を閉じたとき物語は終わった。



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