第14話 主人公-14
*
翌日から特訓が始まった。
緊張する林の予想外に、ランニングから練習が始まった。そして、筋トレ、柔軟体操の繰り返しだった。そして、朝と昼休みにも、練習が課せられた。
毎日毎日が同じような練習の繰り返しだった。ただ、朝昼夕と繰り返していただけに、練習量は以前の数倍になっていた。
筋肉痛が絶え間なく続く状態になると、柔軟体操とマッサージが施された。まるで筋肉や関節の疲れを全て把握しているかのような状態で、朝夢見の指導は続いた。
朝夢見がバイトでいないときは、仙貴が伴走し一緒にトレーニングをしてくれた。それも、林の呼吸を量るかのように無理のないトレーニングだった。
「なんであいつだけ、別メニューなんだ」山本
「そうして欲しいっていう、あゆみさんの申し出なんだよ」高松
「なんで、あんなやつ」山本
周りから奇異な目で見られていたが、林にはそんなことに注意を払う余裕がなかった。朝夢見も仙貴も全神経を林に注ぎ、林もそんな二人に呼応するように神経を使って鍛練した。
そんな日が何日も続いた。
「へぇー、あの子?朝夢見ちゃんが鍛えているのは」
久しぶりに練習を見にきた由起子先生がベンチのところにいた仙貴に話し掛けた。
「あぁ、そうだよ」
「確か、林君だったわね」
「先生知ってるの?」
「前に試合見たとき、上手だなって思ったの。まだ、鍛え足りないなって思ったけど」
「それを朝夢見が鍛えたいって言って、やってるんだよ」
「たいしたものね。あの娘も」
「そろそろ第二段階かな、ってこないだ話してたんだ」
「ついてこれてる?」
「ん。たいしたもんだよ。真面目だし、結構、熱心だから、全然大丈夫」
「その点は見立て違いはないってことね」
「このままだと、とんでもないことになるんじゃない」
「だといいけど…」
「どうしたの?」
「その前に壊れなければいいな、って、それだけ」
そう言う由起子先生の横顔が淋しそうに見えて仙貴は見入ってしまった。
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