掌編小説まとめ
椿叶
夜空
星の降りそうな夜だった。幾千幾万もの星が瞬き、穏やかな光を落としている。そんな中で僕は一人、公園のベンチに座っていた。
冬の空が綺麗だと教えてくれたのは彼女だったか。好きな星座があるから、と僕を連れ出そうとしたのも彼女だったか。星座の話も神話の話も確かにおもしろかったけれど、それよりも子どものように目を輝かせる姿が好きだった。
そんな彼女は、星に溶けた。僕の前で、静かに。
それ以来、冬はずっと夜空を見上げている。そうしている間は、彼女が側にいてくれるように思えた。
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