レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。レベル0でもステータスがカンストしているけどこれぐらい普通だよな?~
第61話 仮面剣士スカーレット(クレア)との闘い下
第61話 仮面剣士スカーレット(クレア)との闘い下
「……なんで? どうして?」
クレアは驚いたように声を上げた。クレアの切り札のような大技であった。間違いなく、ソルに直撃していた。
クレアの攻撃は凄まじかった。それは例え、ダンジョン『ゲヘナ』で鍛えられたソルが相手だったとしても。
ソルのHPと防御力を以ってしても耐え切れない程に。本来であるならばだ。ソルには習得していたスキルがあった。
それはダンジョン『ゲヘナ』の最終戦——バハムート戦で使用したスキルだ。
『HP/MP変換』
このスキルは対象を敵にも選ぶ事ができるが、自分にかける事もできる。ソルは喪失していくHPとMPを交換したのだ。そうする事で、HPが2本分ある事になるのだ。
いかにクレアの切り札と言えども、ソルのHPを2回ゼロにするだけの攻撃力はない。
結果としてソルはMPを失う事にはなるが、HPは満タンなままであった。
切り札となる攻撃を放った後、スカーレットは隙だらけだった。
ソルはスカーレットにトドメを刺そうと剣を構える。そして、スカーレットは覚悟したかのように目を閉じた。
――だが、ソルは剣を止めた。襲ってくるはずの痛みがこない事に違和感を覚え、スカーレットは目を開く。
「どうしてトドメを刺さないの? ソル」
「もうやめよう……クレア。こんな事は。俺とクレアが闘う必要なんてない。俺だって無益な闘いをしたいわけじゃないんだ。君は仮面剣士スカーレットなんかじゃない。俺の幼馴染のクレアだ……だから、俺は君を傷つけたくないんだ」
「ソル……」
スカーレットは潤んだような瞳でソルを見やる。
「私の降参よ……ソル」
「いいのか? クレア」
「うん。もういいの。私の目的は剣神武闘会で優勝する事にあるわけじゃないから。それにソル——あなたならきっとエドワードを倒せるわ。私よりも確実に」
スカーレット……いや、クレアは闘技ステージから降りて行った。
「ソル、絶対にエドワードに負けないでね」
「ああ……勝つのは約束はできない。だけど最善を尽くす事は約束するよ」
『おおっと! 仮面剣士スカーレット選手はどうやら棄権をされたようです! 最大の切り札となる攻撃を耐えられた事で戦意が削がれたのでしょうか! なんにせよソル選手の勝利です!』
ソルは闘技ステージを降りていく。
「よ、よくわからないけどあのソルが勝ちやがった」
「ああ……また勝ったな」
観客達もまた、呆気に取られていた。
「けどこれで次は弟のエドワードが勝てば実現するな」
「ああ……そうだな。準決勝で兄弟対決が実現するな」
「これは見物だな」
「……だな」
観客達もまた、ソルとエドの兄弟対決を待ちわびていた。
そしてエドもまた問題なく、準々決勝を勝ち抜き、準決勝へと駒を進めた。
その結果、ついには準決勝でソルとエドの直接対決。兄弟対決が実現する事になったのである。
◇
「……勝ちよったな。おめでとう、主人(マスター)」
出迎えたバハムートにそう言われる。
「ああ……何とか勝ったよ」
「これであの義弟が勝てば、兄弟対決の実現というわけだな」
「ああ……エドが次の相手に勝てればだけど」
「勝つさ……間違いなくな」
「どうして、そう思うんだ? バハムート」
「そういう予感がする。そう、運命づけられている。誰もが運命の歯車からは逃れられない。全ては世界の運命によって決まっているのだ」
バハムートは言い切る。なぜかソルはその言葉を信じる事ができた。彼女が言うと妙な説得力があった。
言葉通りにエドは勝利を納めた。
そして準決勝でついにソルとエドの兄弟対決が実現する事になった。
まもなく、二人は剣を交える事になる。
誰もが激しい闘いになる予感を抱いていた。
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