第六話 〜親友〜
あれから桜咲さんとの生活が始まって一週間がすぎた
だからと言ってこれといった進展は無かったが、それでも前の叔父さん夫婦よりはマシに見える
欲を言えば最初に身元引き受け人になってくれたお兄さんよりも、無口でどこか無関心な表情が気にくわないが、
そんな感じで一週間経つが、それでも
それを分かってか分からずか、桜咲さんも深入りしようとしない
はっきり言うとそのことは、
最初のおじさんより会話が少ないのは心配だけど、二番目の叔父さん夫婦のように殴られる心配がない安心感が
そんな関係が一年過ぎたある日のことだった
中学二年になった
「僕ね〜不思議なんだ〜
ねぇ〜なんで空は青いんだろう〜」
と隣の友達が急に訳のわからないことを呟く
その質問にまた始まったよ、と言うように隣にいる別の友達が
「またそれか
そんな答えのないような質問聞かれても
俺らバカには絶対答えられないぞ」
と呆れたように言い返すと
「いや分からないだろう
君はなんでそんな百か
もしかしたら何かひらめくかもしれないだろ!
な?そう思うだろ
と
こんな感じの会話に巻き込まれるのは、もうおきまりの展開になりつつあるのか
「確かにそうかもね〜」
と軽く流すと〝また
それを見て〝まーまー〟とその友達をもう一人の友達が宥めていた
そんな事をよそに〝上の空〟の
この二人の友達と
叔父さん夫婦から虐待を受けて心身ともに疲弊してた時に唯一、
最初に話しかけてきたのは、さっきの会話の時に訳の分からなない質問をこぼした少年で名前は
そんな
あの時も
「なんで空は青いか知ってるかい!」
といきなり嬉しそうな顔をしながら話しかけていた…
あの質問には一体なんの意味あるのかは、今でも分からない
でもその時の
だから
「あれれれ。聞こえてないの?
と本当に子どものような感じに〝しつこく〟声をかけていた…
「おーい、
寝てるのかーい」
〝まだ続けるのかよ、そろそろ鬱陶しいな〟と
「おい
と強い口調で止めに入ってきた
そんな彼がさっき下校時に一緒にいたもう一人の友達で、
名前は
しつこく話しかけるのを止めた
そんな
「すまなかった」
と頭を下げてお詫びすると、頭をあげながら
「しかし、
だからどちらかといえばお前が悪い
そんなお前に俺は謝ってやったんだ
だからお前も謝れ」
と
「はぁ、お前なんなの、止めに来たかと思えば、何様のつもり」
と反射的に
それに対して
「俺は俺だ、そんな死んだ目をした奴に〝お前〟と呼ばれる筋合いはない」
と強気に返してきた
そんな睨み合っている嫌な空気を吹き飛ばすように
「そうか、君は死んでるんだ〜
ならご飯食べないと、一緒にご飯食べに行くよ♪」
と
それに対して
「僕…金持ってない」
と目をそらすと、いきなり
その行動にびっくりする
「大丈夫、今日は
と言った
横では〝はい?!俺そんなこと言ってないぞ〟と言うような顔をした
それを御構い無しに
「ね?いいでしょう」
と涙目で話を進める
そんな可愛い小動物に心動かされたのか
「わかった、いいよ、そこの奢りなら、一緒に行ってやるよ」
と嫌味っぽく言うと、それに
〝その姿は尻尾を振ってる犬のように見える〟
でも少し何か違和感があったのか
〝えっとー〟とみたいに人差し指を立てた左手を頬に置いて考え事をするポーズを取る
それを見ながら無意識に
〝いちいち行動が可愛いすぎるなおい!〟
と感じながら頭の中でそんなツッコミを入れていた
そんなツッコミを入れたすぐに後に
「〝そこの〟とかじゃなくて僕の名前は
で、こっちの隣にいるデカイのは
人を〝それ〟とかで読んだダメなんだよ
ちゃんと名前で呼ばないと」
と自己紹介と
そんな
でもそんなことがあったからこそ
そんな思い出を振り返り終わったのか、ふと
頰を膨らませて拗ねてる
「そう拗ねるなよ、お菓子奢るからさ」
とご機嫌取りをする
すると横から
「じゃあ俺アイスな」
と
それに突っ込む間を与えず
「それなら僕もアイスで〜」
とすっかり元気な
この変わりようを見てすぐに
「お前らはめやがったな」
と溢しながらため息をつくと、やれやれという感じに
「あー、分かったよ奢ってやるよ」
と半ば諦めながら
そんな三人の前から
「にゃー」
と小さな鳴く声が聞こえた
その声が気になり三人で、声のする方を見ると段ボールが一つ置いていた
中を開いて見ると子猫が捨ててあった
「子猫だ」
と口を開いた
「本当だ!子猫だ、子猫!」
と目を輝かしている
「生き物の世話できないのに
と
その瞬間〝あれ?これ僕が飼う流れなんじゃないか?〟と察した
「いや、僕、親戚の桜咲さんと一緒だから、子猫飼う余裕無いと思うんだけど」
と両手を上げて〝無理ですよ〟と二人に言ったがその後ろから
「にゃー」
と泣き叫ぶ子猫の声に罪悪感が芽生えてしまい
「いや、やっぱり飼うよ
桜咲さんに一度相談してみる」
と断るために挙げていた両手を下ろして言い直した
段ボールごと持って
「じゃあ僕、早速頼みに行ってくる」
と言い放ち家に向かって少し歩いてから
「あ、忘れてた奢るのまた今度な」
と二人に告げた
「
と
家に帰ると
「桜咲さん、今少しいい」
そう桜咲さんに話を切りだすと
「中に入ってきな」
といわれ部屋の中に段ボールと一緒に入ると、桜咲さんは何も言わずに目の前に座っていた
その姿にいざ子猫のことを話そうとした
それでも勇気を出して
「子猫を拾ってきたんだけど、家で飼っていいですか…」
と桜咲さんに話を切り出した
すると桜咲さんは
「だめだ、元の場所に戻してこい」
と一言だけ言うと背を向けて机に向かう
その冷たいいつもの口調が今日の
「なんでだめなんだ」
と突っかかるように怒鳴った
それにびっくりしたのか子猫が横で鳴いている
それを聞いた桜咲さんがこちらに向き直すと
「その子は子猫でも一つの命、お前にその子を育てる覚悟はあるのか」
と震えが止まらなくなるような殺気に満ちた目を向けながら聞いてきた
その殺気に気圧され震えが止まらないが、それでも
「はい、責任持って必ず育てます」
と強く言い返した
その目を見た桜咲さんは
「…分かった、そんだけ強い意志で育てるというなら、その目に免じて飼ってもいいぞ」
と言いながらまた机の方に向かい仕事を始めた
その言葉に少し拍子抜けしたというか、驚いたというか少し間を開けて、ただ育てていいと認めてくれたことに対して
「ありがとうございます」
と言うと
それからその子猫には毛並みが黒だったから〝クロ〟と名付けていっぱい可愛がった
最初怯えていたクロだったが少しずつなれたのか、今では家のあちこちを歩きまわるほど元気に育って家族の一人として
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