魔眼で始める下剋上 魔女とつくる眷属ハーレム
箕崎准/角川スニーカー文庫
プロローグ
『ボクに触れるんだ』
とある地下遺跡の最深部でのことだ。
祭壇に置かれている宝玉が輝きを放ちながら、頭の中に声を掛けてくる。
『そうすればキミは、世界を変える力を手に入れることが出来る』
幼い頃からずっと不遇な暮らしに耐えてきた。
妹と二人で頑張ってきた。
でも、これでおしまいだ。
世界を変える力は王の力とも言われ、その力を手に入れることが出来れば、どのようなことだって出来るようになると聞いている。
お金だっていくらでも手に入るし、どんな女だって手中に収めることが出来る。
この大陸を支配している皇帝を打ち倒して、代わりに王の座に就くことだって出来るかもしれない。
帝国民の最底辺。
三級市民からの下剋上だ。
それほどまでの力を手に入れるという期待に胸を膨らませながらエイトは五指を開き、暗闇の中で仄かに輝き続けている宝玉に手を伸ばしていった。
そしてそれをすっぽりと手で掴むと、激しい光が放たれて――気付けば一人の少女のような何かが、宝玉があったはずの場所に現れていた。
「お前はなんなんだ?」
「ボクはヴィノス――古の魔女さ」
「古の魔女……?」
「キミの名前は、エイトでいいんだよね?」
人のようで人ではないとしか表現しようがない。
古の魔女と名乗った何かは、裸に近い状態で、ふわふわと宙に浮かんでもいる。
「ああ」
魔女に魅入られたかのように、エイトは素直に答えた。
すると魔女はニヤリと口元を緩めて、
「エイト、キミはボクの契約者になるんだ」
エイトの両頬に左右の手を添えて、じっと目を見つめたまま魔女は続ける。
「そうすればキミは、世界を変える力を――王の力を手に入れることが出来る」
近付いてくる魔女の唇を、エイトが拒絶することはなかった。
二人の唇が触れ合うと同時のこと。
魔女の身体からは、激しい光が放たれて――。
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