素敵な時間

「綺麗ね。」

「あなたは花茄子ね。」


あなたは私を見て

そう言った。


しばらくじっと私を見続けて

「ごめんなさい。」

「花茄子ではなくて、ほおづきね。。。」


そう言いながら、私を見続ける。

ハナナスビでも

ホウヅキでも

あなたが私を「綺麗」と言った言葉と

想いは違わない。


「かわいい。」

あなたは私からずっと、目を離さず

そして、

「ホウヅキはナス科かしら?」

「茄子はウリ科かしら?」

「花茄子とホウヅキは同じ系統かしら?」


私をじっと眺めながら、

ぶつぶつと、言葉をこぼす


私が花茄子でも、ホウヅキでも

瓜でもナスでも

私は、かまいやしない。


大事なことは、

私が幸せに、今生きていること

私が幸せで

その私を見て「綺麗」と言って

幸せそうに私に視線を下さるあなた


私が生きていることを

あなたが証明して

あなたの中に「綺麗」と言う

思いの種を残す


私があなたの中に存在し

そして、私の中にも

私に視線を投げ続けてくれた

あなたの存在の種がこぼれた

(嬉しい。。。)


この命が尽きた時

私は、この思い出を持ち帰る


「かわいい」

「綺麗」

「私を花茄子と言った。」

「私をホウヅキと言った」

ずっと、この幸せを持ち続ける

あなたが私にくれた、あなたの種

あなたがくれた、あなたの言葉

あなたが私に思いを下さり

私があなたに思いを抱く


あなたが私を見つけて下さったことを

心より感謝します


あなたの素晴らしさは

私が見つけました


あなたとわたし

わたしとあなた


素敵な時間

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