398話 魔界
「よし、これで最後か?」
「今まで苦戦していたのにこんなに簡単に片付くものでしょうか?」
「そんな事言ってもどうしようも無いだろ。今まで通りやっていくしないって。」
「まあ、そうですけど。そう言えば、カレン遅いですね。」
「移動したせいで俺たちを見つけられてないだけじゃないか?」
「そもそも下水道の中に入って来てないんですよね。」
「今どこにいるんだ?」
「…いない。どこにもいません。」
「え、どうするんだよ!誘拐されたのか!?」
「その可能性は低いと思いますが、否定はできません。」
「とりあえず外に出よう。死体の処理は後回しだ。」
「イタタ。ここどこ?」
カレンは薄暗い場所にいた。
薄暗さに目が慣れてきた所で周囲を見回すとゴツゴツとした地面が広がっていた。
「私、何していたんだっけ?…そうだ。外に出たら泥棒って声が聞こえて逃げていく人を追い掛けて…そこから記憶が無いわね。」
「カレン、こんな所にいたんですね。」
「メイ?違う、あなた誰?」
そこにはメイが立っていたが、カレンは違和感を感じた。
「カレン、私ですよ。」
「いや!近づかないで!」
カレンはメイに向かって炎の魔法を放つ。
「ぎゃあああ!このクソガキがぁ!」
魔法を浴びたメイの姿をした何かは炎を消そうとのたうち回る。
「やっぱり、メイじゃなかった。メイならこんな風にならないもの。」
何とか火を消した何かは皮膚が焼けただれ、本当の姿を現した。
「よくもやってくれたな。楽に死ねると思うなよ。」
「怪物…やだ、こっちに来ないで!」
「フフフ、やはりあの方の教えを受けただけありますね。」
カレンの背後から誰かがカレンに襲いかかろうとしてた怪物を消し飛ばした。
「私の事を覚えていますか?お嬢さん」
「え?あなたは…メイが召喚した悪魔!」
「正解です。覚えていただいていたとは光栄ですね。」
「どうして悪魔がこんな所に…」
「どうしてというのは私の疑問ですよ。ここは魔界、悪魔の巣窟ですよ。」
「魔界?どうしてそんな場所に来てしまったの?」
「それは私も分かりません。偶然発生したゲートに入ってしまったのでしょう。」
「それが本当ならすごい偶然ね。そうだ、私はカレン。あなたの名前は?」
「私の名前はサタン、以後お見知りおきを。」
「で、そのサタンがどうして私を助けたの?」
「私は見届けたい。あの方、メイ様の結末を。そのためにはあなたはとても重要な存在です。こんな所で死なれては面白くないのですよ。」
「どうしてメイにこだわるの?」
「あの方は神に匹敵する力を持っていながら人間として死のうとしている。その結末がどうなるのか気になりませんか?それに、あの方とは昔からの仲でもありますしね。」
「そんなのおかしいわよ。悪魔が言う昔って何百年前の事なのよ。メイはまだ15歳なのよ?」
「なるほど、あなたはまだ聞いていないのですね。」
「何のことよ。」
「知りたいですか?」
「いいわ。メイの口から直接聞くから。」
「そうですか。良い判断です。悪魔に善意を期待してはいけませんからね。」
「知ってるわ。だから、私が無事メイの所に帰ることが出来たら私の魔力を死なない程度あげるわ。」
「フフフ、契約成立ですね。」
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